ベトナムのバイク販売店を調べてみた。HEADの整備予約、中古車の査定、借りた電池の買い取り

ベトナム生活図鑑 第15回|情報確認:2026年9月
ベトナムでHondaの販売店を調べると、店名の前にHEADという文字が付きます。これはHondaが認定する販売・サービス店の呼び名です。新車が並ぶ売場であると同時に、買った後の点検や修理の窓口でもあります。
ただし、Hondaの看板が付いていることと、すべてをメーカー自身が直営していることは同じではありません。Phát Tiếnのように、複数の店舗を持つ現地の販売会社があります。YamahaにはYamaha Town、電動車ではVinFastの販売・サービス網があり、車体を購入した後も、店舗、部品、アプリ、整備員との関係が続きます。
2025年の販売は、主要5社だけで261万台
ベトナム二輪車製造業者協会VAMMが発表した2025年の販売台数は261万5,057台で、2024年より1.5%減少しました。対象はHonda Vietnam、Piaggio Vietnam、Vietnam Suzuki、SYM Vietnam、Yamaha Motor Vietnamの5社です。売上金額ではなく、これらの加盟メーカーのベトナム国内での実売台数であり、生産台数や輸出は含みません。VAMMの2025年販売発表
この数字には、協会の会員ではないVinFastの販売は含まれません。VinFastは別の発表で、2025年にベトナム国内で電動バイク40万6,453台を販売したとしています。Evoシリーズだけで25万台超という内訳も示しました。協会統計だけを全国の二輪市場全体と読み替えると、こうした販売が抜け落ちます。VinFastの2025年販売発表
VAMMの2026年第2四半期は63万8,431台で、前年同期より4.4%増でした。年間の数字と四半期の数字を分けて見ることで、新車がどれほどの量で販売されているかを把握できます。一方、道路上には過去に売られた車両も走っているため、これらをそのまま保有台数や修理件数とすることはできません。VAMMの2026年第2四半期発表
HEADはメーカーの看板と、販売会社の名前が重なる場所
Honda VietnamのFAQは、二輪車をHEAD経由で販売し、工場からの直接販売やウェブサイト上での購入登録は行わないと説明しています。また、メーカーが示すのは希望小売価格で、実際の販売価格はHEAD側が決めるとしています。公式サイトの車両価格を見た後、具体的な購入条件は店で確認するという流れです。Honda Vietnamの購入に関するFAQ
Phát Tiếnは、そのHEADを運営する会社の一つです。公式サイトには、車両販売に加えて点検、部品、買い替えなどの案内があり、会社としての営業時間は旧正月のテト期間を除く毎日8〜20時とされています。Hondaというメーカー名の下に、Phát Tiếnという地域の販売・整備事業者の名前があるわけです。Phát Tiếnの店舗・会社案内
同じブランドの車両を扱う店でも、販売会社ごとの窓口やサービス案内があります。メーカーの全国制度と、各店のキャンペーンや受付時間は別です。新車の型式だけでなく、どの販売会社のどの店で購入し、点検を受けるかという単位が、現地のサービスには残っています。
納車前には、車体番号からスマートフォンの設定まで確認する
Yamaha Townの新車引き渡し案内には、技術者が確認する項目が具体的に掲載されています。外装の傷、車体番号とエンジン番号、ミラーなどの取り付け、タイヤの空気圧、灯火、ホーン、ブレーキなどです。車両を並べて売るだけでなく、引き渡す前に検査する工程が決められています。
ガソリン車では燃料やオイル、冷却系の確認が入り、電動車には別のチェックリストが用意されています。購入者への説明には保証、消耗部品、定期整備とともに、My Yamaha Motorアプリの導入も含まれます。車体の確認と、購入後の情報を扱う設定が同じ納車の場に置かれています。Yamahaの納車前点検・説明項目
点検するのは店舗の技術者です。納車時に車体番号を確かめた一台が、保証登録、整備券、アプリの記録へとつながっていきます。
My Honda+では、予約時に整備担当者も選べる
HondaのMy Honda+には、車両情報、保証、修理・整備の履歴をまとめて確認する機能があります。近くの販売店を探し、店に持っていく日時を予約できるほか、公式の機能案内では担当する技術者を選べると説明しています。単に空いている時間枠を押さえるだけではない予約画面です。
対応車種では車両との接続機能もありますが、これはすべてのHonda車に同じ情報が表示されるという意味ではありません。車両と接続して得る運転情報と、店舗での整備履歴は、アプリの中でも異なる役割を持っています。My Honda+の機能案内
一方、YamahaのMy Yamaha Motorにも、近くの販売店の検索、整備やオイル交換時期の通知、修理履歴の確認といった機能があります。店舗に置かれる紙だけでなく、持ち主のスマートフォンにも車両の記録が残る仕組みです。My Yamaha Motorの案内
Yamahaは2024年に電子保証の導入を発表しました。Yamaha IDを使って登録し、有効化後はアプリの保証・整備欄で情報を確認します。紙の保証書を探して持参する代わりに、電子情報から対象車両を確認できる仕組みとして紹介されています。Yamahaの電子保証導入
Hondaの無料点検は、2026年に6回から7回へ
Honda Vietnamは2026年1月1日から、保証期間内の車両について無料の定期点検を6回から7回に増やすと発表しました。古いFAQには6回の記載が残るものもありますが、新しい告知は7回です。対象は保証が有効な車両とされ、詳細はHEADで案内するとしています。2026年の無料点検追加発表
同じ告知では、アプリによる点検時期の通知、店舗検索、予約、サービス評価も紹介しています。点検回数だけを増やすのではなく、いつ持ち込むかを知らせ、来店の予約につなぎ、終わった後に評価を残すところまで一つの画面に入っています。
ただし、「無料点検」という表現は、車両に必要な交換部品や、あらゆる修理費がなくなるという意味ではありません。店頭で行う確認と、実際に部品を取り替える作業は別です。この区別は、次のYamahaの整備券ではさらに具体的に示されています。
Yamahaの整備券には、白・青・ピンクの区分がある
Yamahaの公式案内では、排気量400cc未満の対象車両に9回、電動車には6回の無料整備券があります。券は保証書の中、またはMy Yamahaのアプリ内で扱います。9回の券には使用する期間があり、1回目は購入後4か月以内、2回目は5〜10か月、3回目は11〜14か月というように区切られています。Yamahaの無料整備日程
紙の券は作業の段階によって色も異なります。9回の制度では最初の1回は白、2・4・5・7・8回目は青、3・6・9回目はピンクです。電動車の6回では、白が1回目、青が2・4・5回目、ピンクが3・6回目となります。アプリでも対応する番号の券を使い、車種と券の種類によって確認項目が分かれています。
重要なのは、無料の範囲から部品、オイル、薬剤、冷却液、券に含まれない追加作業が除かれていることです。利用者が支払う物は公式ページに明記されています。点検券を使った日にオイル代が発生しても、それだけで「無料ではなかった」という仕組みにはなりません。Yamahaの整備券の内容
部品を買うと、整備アプリの会員ランクも変わる
Hondaは2026年4月1日、My Honda+内で会員プログラムを始めました。ポイントは一種類ではなく、アプリ内の活動に使うJOY、会員ランクを判定するJOY+、特典と交換するJOY+に分かれています。
ランクは銅、銀、金、ダイヤモンドの4段階。正規部品、アクセサリー、ヘルメットの対象取引などが関係し、アプリ内の抽選では、携帯電話のチャージ券やオイルの割引券なども景品として案内されています。整備の記録を見るアプリが、再来店の特典を受け取る場所にもなっています。Honda会員プログラムの開始発表
部品が店頭にない場合にも、HEADが窓口になります。HondaのFAQは、必要な純正部品の在庫がなければ、客がHEADを通じて注文し、Honda側がその注文に応じて部品を供給すると説明しています。店に並んでいる物だけでなく、取り寄せる部品も同じ窓口で扱う仕組みです。ただし、この説明から個別部品の納期までは分かりません。Hondaの部品注文に関するFAQ
Phát Tiếnには、中古車を査定する別の窓口がある
Phát Tiếnの中古車部門はHAUSを名乗り、Lê Trọng Tấn通り391番に窓口を案内しています。買い取りの流れは、車両の受け付け、所有者や車体番号・エンジン番号の確認、状態の検査、写真の共有、価格の提示です。
公式説明では、現場で確認した車両の写真を価格算定の担当部署に送り、その部署から利用者へ電話で価格を伝えます。カウンターにいる一人がその場で全てを決める説明ではなく、検査と値付けの担当が分かれています。新車の注文とは別に、今乗っている一台を評価して引き取る流れがあるのです。HAUS Phát Tiếnの中古車買い取り
販売車両の掲載欄には年式、走行距離、価格が並び、保証は最長12か月と案内されています。ただし、保証の条件は車両や制度によります。中古車は同じ車種名でも走行距離や状態が違うため、新車のように型式の価格だけを見て終わる売場ではありません。
電動車では「車体を買う」と「電池を持つ」が分かれる
HondaのICON e:では、電池の購入とレンタルが別の選択肢として設けられています。2025年8月15日の発表で車体と一緒に電池を買う制度を追加し、同年9月15日からは、借りている電池をそのまま買い取る制度も始めました。
借りた電池を購入する場合は、電動車を扱うHEADを訪ねます。対象はMy Honda+上のレンタル契約が買い取り時にも有効な利用者と、その契約で借りている電池です。価格は支払い済みのレンタル費用と使用期間を基に算定し、切り替え、支払い、購入確認はアプリで進めるとされています。
買い取った日から新品と同じ保証が始まるわけではありません。この2025年の発表では、借用中の電池を買い取る際の保証対象は、HEADが評価する電池の容量状態SOHが80%を超えるものとしています。保証期間も2年から、それまでに電池を使用した月数を引く方式です。同じ電池を使い続けて所有へ切り替えるため、金額だけでなく、電池の状態と既に使った期間が条件に入ります。ICON e:の電池販売制度
車両を買った店が、充電する場所にもなる
Hondaは2026年6月26日のUC3発売時、20の省・市にある83の電動車取扱HEADで販売を始めると発表しました。Hondaの全販売店が最初から同じ電動車を扱うのではなく、対応する店舗を指定する形です。
同時に発表したHonda Motor Charger Hubは、ハノイとホーチミン市の電動車取扱HEADを優先して展開する充電拠点です。発表時に名前が挙がった対象車種はUC3で、今後の車種にも対応する方針を示しています。利用登録と支払いにはMy Honda+を使います。車を買い、整備のために戻る店に、日々の充電という別の用途が加わります。
この発表には、ハノイとホーチミン市で電動車を7日間自宅で試すHonda e:Hubの企画もあります。会場内の短い試乗だけでなく、日常の移動で数日間使う形式が案内されています。販売店の車両展示と、実際の暮らしでの充電や移動をつなぐ取り組みです。UC3発売と充電拠点の発表
VinFastも、電動車を買った後の点検と出張修理を持つ
VinFastの電動バイク向けFAQは、購入後1か月または1,000kmの最初の整備、その後は前回から6か月または5,000kmの整備を案内しています。期間と走行距離のうち、先に達した方が基準です。電動だから店へ戻る必要がない、というサービスではありません。個別車両では該当する保証書と案内に沿って扱われます。
同社にはMobile Serviceという出張修理もあります。予約を受けた後、サービス工場が状態と必要な作業を確認し、人員や部品を準備して訪問する流れです。通常の業務時間内の対応で、平らな作業場所が必要となり、天候などによって制約があるとしています。いつでもどこでも同じ修理ができるロードサービスとは区別されています。VinFastの電動二輪アフターサービスFAQ
保証にも車体と電池の区別があります。VinFastは2025年8月15日以降に販売するLFP電池搭載の対象電動バイクについて、車体6年、電池8年、走行距離の上限なしという制度を発表しました。全ての過去のモデルや異なる電池方式へ一律に適用する案内ではありません。VinFastのLFP電池搭載車向け保証発表
夜まで開く店では、整備員も交代勤務する
販売会社の内部は、採用情報からも少し見えます。Phát Tiếnが2026年8月3日に掲載した二輪整備員の求人では、朝の勤務が8時〜17時30分、午後の勤務が12〜20時という交代制です。週に一日の休日を設け、勤務の引き継ぎを行うとしています。
仕事内容は点検、整備、修理に加え、作業場所の整理や防火、安全管理など。Nơ Trang Long通り17番の店舗や、Bến Lứcの国道1A沿いの店舗などが勤務先として挙がっています。客が車両を預ける店の奥には、担当者の交代と作業の進捗を引き継ぐ仕事があります。Phát Tiếnの整備員採用情報
Yamahaは技術者向けにYTAという研修制度を持ち、ハノイ、ハイフォン、ダナン、ニャチャン、ホーチミン市の研修拠点を案内しています。2021年からは理論をオンラインで学び、その後に研修施設で実習する方式も導入しました。画面で学ぶ内容と、実際の車両を使う作業を分けています。
地方の学校との連携では、Yamahaが研修設備や車両を提供し、学校での学習後にサービス拠点で実習する流れも説明されています。店頭で車体を点検し、購入者に説明する仕事を学ぶ場として、メーカーの研修と学校経由の現場実習という経路が用意されています。Yamahaの技術者育成制度
出典:VAMM、Honda Vietnam、Yamaha Motor Vietnam、VinFast、Phát Tiếnの公式発表・サービス案内。台数は出典の集計対象と期間に従います。訪問取材ではなく、公開一次情報に基づく記事です。
