ベトナムの家事代行を調べてみた。bTaskeeの時間制掃除、働き手、テト前の注文

ベトナム生活図鑑06|確認日:2026年9月29日
床を拭いてもらう、夕食を作ってもらう、スーパーで食材を買ってきてもらう。ベトナムのbTaskeeには、それぞれ別の注文項目がある。家事をひとまとめに誰かへ任せるだけではなく、今日必要な作業を選び、その日時と場所を指定する仕組みだ。
公式サイトを開くと、通常の掃除、大掃除、ソファやマットレスの清掃、エアコンの手入れなどが並ぶ。料理と買い物、洗濯も別々だ。家の中にある「やらなければならないこと」が、一つずつサービス名になっている。依頼を受けて訪れる働き手はTaskerと呼ばれ、利用者用とは別のアプリで仕事を受ける。
どの作業を何時間で頼めるのか。自宅で行うのか、品物を持ち出すのか。何を使って料金が決まるのか。bTaskeeの公式サービス案内と働き手向けの資料を読むと、家事代行という言葉だけでは見えにくい細かな違いが出てくる。以下の金額は確認時の公式掲載参考料金で、地域や日時などを入力したアプリの見積もりとは区別して紹介する。
掃除は二時間・三時間・四時間から選ぶ
時間制の掃除は「Giúp việc nhà theo giờ」と呼ばれる。公式ページの参考料金は二時間19万2,000ドン、三時間24万ドン、四時間30万4,000ドン。それぞれ二部屋・55㎡、三部屋・85㎡、四部屋・105㎡という広さの目安が併記されている。面積だけで必ず作業が終わるという保証ではなく、予約する時間を考えるための目安だ。
共用部の作業には、手の届く表面のほこり取り、スイッチや取っ手の拭き掃除、ごみ捨て、床の掃き掃除と水拭きが挙がる。単に「家をきれいにする」ではなく、人が触る小さな箇所まで仕事として示される。一方、四時間を超える作業については、大掃除のサービスを選ぶよう案内している。
料金は朝八時前や夕方五時以降、週末、祝日、テトなどでも調整される。働き手を自分で選ぶ機能には一回二万ドンの料金があり、定期パッケージではその機能を無料で使えると記載されている。時間制掃除の公式案内
毎週頼む家には、一か月分を予約するパッケージ
一回限りの予約とは別に、「Giúp việc nhà theo gói」という定期サービスがある。一度の手続きで一か月分の予定を設定し、料金を前払いする方式だ。公式案内では、利用者が高く評価した働き手を優先することや、提供地域内で引っ越した場合の作業場所変更への対応が説明されている。
定期的に同じ家へ入る仕事だからこそ、毎回日時を入力し直す手間だけでなく、以前の仕事への評価が次の手配に関わる。住み込みで一人の家政婦を雇う方式とは異なり、必要な曜日と時間帯を繰り返し予約する形である。特定の人がどの回にも必ず来るという約束とは分けて読む必要がある。
案内では未払いの注文は三日後に失効する。予約を作成したことと、支払いを済ませて利用を開始できる状態は別だ。日時の選択、担当者の優先順位、決済という複数の手続きが、一か月の家事の予定を支えている。定期掃除パッケージ
大掃除は、二人・三人のチームで来る
大掃除の「Tổng vệ sinh」になると、作業時間だけでなく人数も料金表に入る。掲載例は80㎡を二人で三時間、60万ドン。100㎡を三人で三時間、90万ドン。150㎡を三人で四時間、120万ドンだ。二時間の掃除を長くするだけではなく、複数人を投入する商品になっている。
作業内容には、天井のくもの巣、シーリングファン、窓の隙間、鏡、ガラス、階段などが挙げられる。日々の床掃除では手を付けにくい箇所が含まれ、道具も作業者が準備すると説明される。家の広さに加えて、高所、細かな隙間、拭く対象物の多さが関わってくる。
ここで三人三時間は、利用者が待つ時間としては三時間でも、作業量では九人時に相当する。これは掲載条件からの単純な計算だ。同じ「三時間」という表示でも、一人で来る時間制掃除と大掃除のチームでは、サービスの単位が違う。大掃除の人数・面積・参考料金
料理は、出来上がった弁当を届けるサービスではない
「Nấu ăn gia đình」は、作業者が家庭の食事を調理するサービスだ。公式案内では、利用者の冷蔵庫にある材料を使うことも、買い物代行を追加することもできるとされる。料理が届くフードデリバリーとは違い、食材が置かれた家の台所で仕事が行われる。
注文画面ではサービスを選び、仕事の詳細、時間を入力して確認する。料金はアプリで表示する仕組みで、公開ページには全国共通の一食価格は掲載されていない。外食のように料理名ごとに皿の値段が固定される方式とは異なり、どのような調理を頼むかが先にある。
同社はこのサービスを「cơm nhà」、家庭のご飯という言葉で紹介している。材料を自分で用意する場合には買い物は家族側に残り、買い物代行も頼む場合には食材をそろえる段階から他の人が担う。夕食という一つの出来事を、購入と調理に分けて注文できるのが特徴だ。家庭料理サービス
買い物代行には、商品代とは別の時間料金がある
「Đi chợ」は買い物をするという言葉で、bTaskeeでは指定した品物を購入し、自宅へ届けるサービス名になっている。公式ページではスーパーやコンビニを購入先として選べると案内する。特定スーパーの自社配達に限らず、どこで何を買うかという依頼を受ける形だ。
参考料金は買い物の作業が一時間八万ドン。配送料は半径五キロ圏内で一注文一万5,000ドンから。商品をいくら買ったかとは別に、人が買いに行き運ぶ部分にも料金がある。現在のサービスページには商品代の下限十万ドン、上限百万ドンという表示もあるが、過去の説明記事とは数字が違うため、実際の注文条件はアプリで確定する。
食品を選ぶ経験のある作業者を案内しており、単なる荷物の運搬とは区別される。注文する人が希望の品目を伝え、相手が店頭で商品を選ぶ。そのため数量だけでなく、買い物の内容を共有する工程が必要になる。買い物代行の公式案内
買い物リストは、途中でも相談する仕組み
買い物代行の公式手順には、届ける日時と住所、購入したい品物、予定する商品代を入力する流れが示されている。ここで入力した予算は見積もりであり、実際の商品代によって追加の支払いや差額の返却が起こる。商品代と代行料を混ぜずに見ると、この仕組みを理解しやすい。
同社の説明では、アプリ内の通話やメッセージを使い、品物を追加、削除、変更することもできる。作業者が購入前にリストと金額を確認し、追加の費用が必要なら利用者に知らせるという手順だ。棚に商品がなかった場合なども、注文者と購入者が連絡を取り合える設計になっている。
これは2020年公開の操作案内で、当時の注文上限や追加料金を現行料金としては採用しない。一方、予算を伝え、購入内容を相談し、届いた品物を確認するという仕事の流れは、買い物代行を単なる通販と区別する具体的な手がかりになる。買い物代行の注文・精算の説明
洗濯には、普段着の重量料金とアオザイの一着料金
洗濯サービス「Giặt ủi」は、担当者が自宅で衣類を受け取り、分類、洗浄、乾燥、折り畳み、包装をして届ける流れになっている。掃除の人が家の洗濯機を回すことと同じではない。衣類を預かり、洗濯の工程を終えて返却する集配型だ。
掲載料金では、普段着の洗濯・乾燥は一キロ一万7,000ドンから。毛布、シーツ、蚊帳などは一キロ三万5,000ドンからとされる。一方、「Giặt hấp」という別の洗浄区分ではスーツ一組12万5,000ドンから、アオザイ一組八万5,000ドンから、シャツ一枚三万5,000ドンからという品目料金が並ぶ。
同じ袋の中にある衣類でも、重量だけで計算されるとは限らない。さらに追加サービスの欄には、漂白・染み抜きが一点三万ドンから、アイロンが一点一万5,000ドンから、特別な衣類を別洗いする依頼が一回三万ドンからとある。普段着をまとめて預けるのか、アオザイを一組頼むのか、そこにどんな処理を加えるのか。同じ「洗濯」でも、キロ・組・点・回という単位を使い分ける料金表だ。集配洗濯の工程と料金表
ソファとマットレスは、家に機械を持ち込んで洗う
ソファ、カーテン、マットレス、ラグには専用の清掃サービスがある。布張りソファの説明では、ほこりを吸い、専用液を使い、機械で汚れを落とし、洗浄液や水分を吸い取る工程が示される。革張りの場合は素材の手入れに関する工程も加わる。床を掃除するついでに表面を拭く仕事とは異なる。
マットレスの掲載参考価格は幅1.5メートル未満で33万ドンから、1.5〜1.8メートルで39万ドンから。カーテンには一枚単位で扱う区分と、重さで扱う水洗いの区分がある。利用者が入力すべき情報も、部屋全体の広さではなく対象物のサイズや素材へ変わる。
ソファ清掃の案内には、乾燥にかかる時間は材質、湿度、気温、通風で変わると明記されている。作業者が帰った時刻と、布製品が完全に乾く時刻は同じとは限らない。家具を運び出さずに処理するサービスならではの条件だ。家具・寝具の清掃
エアコンは、壁掛けか天井型かで注文が分かれる
エアコン清掃の料金表は、壁掛け、床置き、天井埋め込みなどの設置形式と出力で区分される。ホーチミン向けの参考価格では、壁掛けで二馬力未満の清掃が一台24万ドンから、二馬力以上が27万ドンから。床置き型の清掃は40万ドンからと掲載されている。
冷媒補充は清掃と別の料金項目だ。壁掛け二馬力未満では13万2,000ドンから、標準補充の上限は一台一回30PSIと注記がある。作業工程には、清掃前に利用者と機械の状態を確認すること、組み立て直した後の確認も含まれる。ただし、この動作確認と、故障箇所の修理や別料金の冷媒補充は分けて扱われている。
予約の時点で機種と能力に応じた費用を表示し、支払いにはbPayやMoMo、ZaloPay、VietQR、銀行カードなどを案内する。訪問する技術者は提携企業に所属し、bTaskeeの作業・接客基準に沿った研修を受けると説明されている。清掃完了後には七日間の保証があり、清掃工程に関係する問題が起きた場合、アプリか窓口へ連絡して追加費用なしの再点検を受ける案内だ。エアコンのあらゆる故障を無料で修理する保証ではない。エアコン清掃の機種別料金と保証
働き手は、アプリ登録後に面接と研修を受ける
Taskerの募集では、専用アプリbTaskee Partnerへの登録、知識テスト、本人情報の提出、面接、研修を経て仕事を始める流れが示される。掃除分野の募集要件には、タッチ式スマートフォンを使えることとバイクを持っていることが含まれる。仕事を受ける道具と、利用者の家へ移動する手段が必要なのだ。
働き手は時間、場所、報酬を見て自分に合う仕事を選ぶと説明されている。ただし、掃除Taskerの募集要件には「一日に連続して五時間の空きがあること」も挙がる。好きな仕事を選べることと、細切れの空き時間だけで参加できることは同じではない。募集ページには高い月収の可能性も記載されるが、保証給ではなく、その数字を平均収入としては扱えない。利用者が支払う一回分の料金と、作業者の月の手取りは別の情報である。
企業が掲げる研修や本人確認も、どの家でも同じ品質になることを外部から検証した結果ではない。ただ、家事の経験だけではなく、アプリの操作と移動、仕事別の研修を前提に参加する仕組みが公開されている。Taskerの登録と募集要件
テトの案内には、三十日前からの大掃除予約
2026年のテト向け発表で、bTaskeeは十年間に百万人超の顧客へサービスを提供し、累計1,500万時間超の仕事を完了したと説明している。これは同社が公表する累計規模で、ベトナム家事代行市場の年間利用者数や売上ではない。同発表はテト期間の対応について、19の省・市、一万人超のTaskerという数字も挙げている。
年末向けの中心は、時間制掃除、大掃除、ソファやマットレス、家電の清掃だ。三十日前からの予約を案内し、直前の混雑を避けるよう呼びかけている。定期的に床や台所を掃除してもらう依頼と、年越し前に家の広い範囲をまとめて手入れする依頼が、同じアプリの中にある。
普段は二時間の一人作業、年末には複数人で天井や階段も含めた大掃除。企業のテト向け案内は、そのような別々の注文を並べている。日常の家事を維持するための予定と、年の節目に家を整える予定が、予約表の中で分かれている。bTaskeeの2026年テト向け発表
拡大するアプリでも、働き手の数には地域の偏りがある
Tuổi Trẻ Newsの2026年7月23日付記事(The Ky・Nhat Xuan署名)で、bTaskeeはベトナム国内21省・市で運営し、ホーチミンではさらに500人超の協力者を必要としていると答えた。1万5,000人超という協力者数も紹介されるが、これは東南アジア四カ国を合わせた数だ。ベトナム国内の働き手だけを数えた数字ではない。
同社は、若く比較的所得の高い都市生活者の利用が広がっていると説明する。また、夜間、週末、テトなどに需要に応じて報酬を変える仕組みもある。紙面で注目された月収3,300万ドンは、継続的な稼働と高評価などの条件を満たした人の平均として、同社が説明した数値だ。対象人数や集計期間は記事に記されておらず、全登録者の平均や固定給ではない。利用者が忙しい時間に、訪問できる働き手をどう確保するかが、予約画面の背後にある。Tuổi TrẻのbTaskeeへの取材
テトなら毎年どこでも忙しい、とは限らない
年末の需要にも地域差と家計の事情がある。Tuổi Trẻ Newsの2024年1月21日付記事(Bao Anh・Thao Thuong署名)は、ホーチミンで注文不足を訴える清掃業者を取材した。会計の仕事をするPhương Dungさんは、所得が伸びないため、その年は子どもと自分で家を掃除すると話している。bTaskeeも通常期より需要はあるが、前年までの伸びには届かないと説明していた。
対照的に、中部クアンガイのKim Cleanerは予約が増えていると回答した。同社のNguyen Tan Hoa代表によれば、地方では日常的な家政婦の利用より、年末にまとめて大掃除を頼む形が目立つという。これは当時の取材先の話であり、2026年の全国需要の推計ではない。アプリの成長、都市での人手不足、家庭が自分で掃除する選択は、年や場所によって同時にも起こりうる。ホーチミンとクアンガイの清掃業者・利用者への取材
