ベトナムの映画館を調べてみた。国産映画、二人掛け席、テトに出かける上映館

ベトナム生活図鑑 第17回 映画館の編集カバー

ベトナム生活図鑑 第17回|映画館

ベトナムの映画館は、海外の大作を上映する場所だけではない。2025年の劇場市場では、ベトナム映画が約62%を占めたと文化スポーツ観光省の掲載記事は伝える。航空機を舞台にしたアクション、家族のドラマ、テトに公開する新作。その作品を、ショッピングモールの通常席で見るのか、二人掛けの席や大型スクリーンで見るのかという選択が重なる。

料金にも小さな分岐が多い。若者向けのU22、平日のサービスデー、特定の住宅地の居住者料金。CGV、Galaxy Cinema、Lotte Cinemaのベトナム向け公式案内から、映画館の入口から売店までをたどってみる。

目次

2025年の興行収入は約5兆6,000億ドン

文化スポーツ観光省の2026年6月30日掲載記事は、その日のダナンでの映画・AI・知的財産を扱うセミナーでの発言を伝える。Nguyễn Huy Dũng副大臣が示した2025年のベトナムの映画興行収入は約5兆6,000億ドン、販売チケットは7,000万枚超。公開されたベトナム映画は50本を超えた。これは一つのチェーンの売上ではなく、国内の映画興行について示された規模だ。同省掲載のセミナー報道

同じ記事では、ベトナム映画の劇場市場シェアを約62%、一人当たり年間鑑賞回数を約0.7回としている。62%の分母を売上か販売枚数かまでは明示していないが、50本超の公開作品と合わせて、国産作品の存在感を伝える数字である。ただし7,000万枚は延べ販売枚数で、全国民が均等に映画館へ通ったという意味ではない。何度も来場する人も、映画館を使わない人も含む全国規模の数字だ。

上映されるのも、海外の大作だけではない。Galaxyの作品ページには、2025年9月公開のベトナム映画『Tử Chiến Trên Không』がある。ハイジャックされた航空機で、警護の専門家や乗員らが犯人に立ち向かうアクション作品で、Thái Hòa、Kaity Nguyễn、Thanh Sơnらが出演する。同作の公式上映案内

同作についてGalaxyは、SalaでのIMAX Laser上映も案内した。ベトナム映画と特殊な上映設備は別々の話ではなく、国産作品を大きなスクリーンの上映形式で選ぶ機会もある。

2026年4月の作品『Anh Hùng』は、同じThái Hòaが出演するが、設定はシングルファーザーのタクシー運転手だ。娘の命が関わる状況で、巨額の慈善詐欺に巻き込まれる物語として紹介されている。Galaxyの分類は心理・家族ドラマ。同じ俳優の名前を見つけても、航空機内のアクションから家族を軸にした話へと、上映作品の題材は変わる。『Anh Hùng』の作品情報

学校が申し込む、戦争映画の鑑賞会

国産映画を誰と見に行くのか。デートや家族の外出とは異なる入口が、学校の告知に残っている。ホーチミンのNguyễn Thị Minh Khai高校は2025年9月、映画『Mưa Đỏ』の鑑賞会を生徒と保護者へ案内した。同作は1972年のクアンチ古城での81日間の戦闘に着想を得た劇映画で、監督はĐặng Thái Huyền。記録映像そのものではなく、創作を含む作品だ。Galaxyの作品紹介

学校の案内では、会場はHai Bà Trưng通り135番地のCinestar、予定日は2025年9月28日の日曜日。生徒向け料金は4万9,000ドンで、一上映回につき最大500人、それを超えれば別の回を追加する計画だった。希望者がクラスを通じて登録し、費用を納める形で、参加が希望制であることも読み取れる。同校が出した鑑賞会の募集案内

募集を取りまとめるのは学校の青年団組織で、希望者は各クラスの青年団幹事に申し込みと支払いをする。幹事が名簿を青年団の事務室へ提出する期限は9月24日16時だった。映画館で各人が券を買うのではなく、学校内で人数と費用を集める手順まで決められている。500人は実際の参加人数ではなく受付上限であり、この告知だけでは当日の参加者数や実施結果は分からない。

ショッピングモールの3階にある大型スクリーン

ホーチミンのGalaxy Salaは、Mai Chí Thọ通り10番地にあるThiso Mall Salaの3階に位置する。現行サイトではGalaxy CineXの名称でも案内されている。買い物をする建物の中に映画館が入り、ここにIMAX with Laserの上映室が置かれている。Salaの施設紹介

所在地を追うと、映画館の名前だけでなく、Thiso、AEON、Vincomといった商業施設の名前が繰り返し現れる。上映時間までの居場所や食事の選択肢を、館の外の同じ建物にも持てる配置だ。ただし、全ての店舗が同じ大きさのスクリーンや特別席を備えているわけではない。

GalaxyのIMAX with Laser専用ページには、Salaに加え、ハノイのHanoi Centreも掲載されている。後者はNguyễn Thái Học通り175番地の商業施設、南棟3階。段差を付けた座席配置と革張りの席を案内している。同じチェーンでチケットを探していても、この上映形式を選ぶ段階で行き先が絞られる。IMAX with Laserの対象館

新作だけが特別上映の対象になるわけでもない。Galaxy Salaは『Interstellar』を2025年2月28日からIMAX Laserで再上映すると告知した。上映時間は169分。旧作を映画館の設備で見直す機会として売り出した例だ。再上映の告知

2026年9月には『Avengers: Endgame』の再上映も告知された。Galaxyの説明では9月25日公開、24日先行上映で、4分の追加映像をうたう。上映方式の案内にはDolby VisionとDolby Atmosを組み合わせるInfinity Visionも登場し、Galaxy CineX AEON Mall Thanh KhêとGalaxy Trung Chánhの1・4番上映室を挙げている。これは作品の公開告知で、今予約できる上映回の一覧ではない。2026年の再上映案内

上映表のPhụ Đềは字幕を示す言葉で、作品名の隣だけでなく、各上映回にも表示される。映画を選んだ後に、開始時刻と併せて上映形式や言語表示を確かめる作りになっている。

CGVの最後列には、二人用の「箱」がある

CGVのSWEETBOXは、二人で座ることを想定した席だ。中央の肘掛けをなくし、周りの仕切りを高くしている。公式の紹介では、上映室の最後列に配置すると説明される。隣の一席を別々に予約するのとは違う座席商品で、カップル向けとして明確に案内されている。SWEETBOXの説明

対象館の一覧には、ホーチミンのLiberty Citypoint、SC Vivo City、AEON Bình Tân、ハノイのVincom Nguyễn Chí Thanh、AEON Long Biênなどが並ぶ。街を変えても見つかる形式だが、利用できる席数や追加額はそれぞれの館で確認する仕組みになっている。

CGVは、熱帯の森をイメージしたCine & Forêtという上映室も持つ。公式説明で挙げる基調色は緑、オレンジ、黄色。対象としてハノイのVincom Trần Duy Hưng、ハイフォンのAEON、ホーチミンのVincom Mega Mall Grand Parkが掲載されている。Cine & Forêtの案内

この上映室の料金表では、BeanとBedが分かれる。普通の上映室の一席に追加料金を払うだけではなく、座る・くつろぐ場所そのものを違う商品として選べる構成だ。映画館の紹介ページで内装や席の写真が大きく扱われる理由も、映像の規格だけでは説明できない。

同じCGVでも、水曜日と週末では値段が違う

ハノイのCGV Vincom Nguyễn Chí Thanhの公開料金表では、通常の2D成人料金が月・火・木曜日10万5,000ドン、金〜日曜日と祝日12万5,000ドン。水曜日のサービス料金は7万9,000ドンだ。U22、つまり23歳未満の区分は7万ドンと表示されている。同館の料金表

そこに席や上映方式の加算がある。同館のSWEETBOXは2万6,000ドンの加算。VIP席は5,500ドン加算だが、U22にはこの加算を免除すると注記される。3Dや祝祭日にも別の条件が付く。曜日別の基本料金だけを見ていた場合、最後に選ぶ席や上映回によって支払い額が変わる。

ホーチミンのCGV Vincom Grand Parkには、さらに住宅地の住民向け料金がある。月〜金曜日の対象料金は5万9,000ドンで、CGV会員であることに加え、購入時に住民カードを提示する条件が記されている。誰でも利用できる「平日価格」とは別枠だ。Grand Parkの料金と居住者条件

同館の通常成人料金は月・火・木曜日7万9,000ドン、金〜日曜日と祝日10万5,000ドンとなっており、先ほどのハノイの館と同じではない。チェーン名だけで全国共通の価格が決まるのではなく、各館の料金表が入口になる。

U22や子ども、高齢者などの区分については、窓口購入や身分証明の提示条件も案内される。オンラインで最初に表示される成人料金と、窓口で証明書を出して買う料金とが必ずしも同じではない。

Galaxyの火曜日は、4万5,000ドン「から」

GalaxyのHappy Dayは毎週火曜日だ。公式告知の見出しは「4万5,000ドンから」だが、館別の表まで読むと段階がある。AEON Huế、AEON Tân An、CineO Vincom Đan Phượngは4万5,000ドン、Nguyễn DuやTân Bìnhなどは5万5,000ドン、Salaは7万ドン、CineX Hanoi Centreは7万5,000ドンとなっている。Happy Dayの館別条件

これは通常の2D上映を対象にした案内で、祝祭日やテト、特別上映、IMAX Laser、特別上映室は対象外。他の割引との併用もできない。最も安い数字だけを見て大きなスクリーンを予約すると、想像していた額とは違うことになる。

CGVには毎月最後の月曜日のCulture Dayもある。2026年9月29日に確認した告知では、Gold Classが15万ドン、L’amourのBedが30万ドン、Cine & ForêtはBean10万ドン、Bed30万ドンといった特別上映室の料金を掲げている。ただし祝祭日や特別上映、団体販売、IMAX・ScreenX・4DX・Ultra 4DXなどは除外される。全ての上位設備が一斉に安くなるわけではない。CGV Culture Dayの現行案内

同じ日に、飲み物2杯とポップコーン1個のCGV Comboを8万7,000ドンで販売する案内もある。こちらは売店購入で、チーズやキャラメルへの味の変更分は含まれない。映画のチケットと飲食のセットがそれぞれ別の条件で動き、映画だけを買う人と売店も使う人では、利用する特典が変わる。

ポップコーンに、ハノイの秋の味

Galaxyが紹介するBắp ngọt vị cốmは、ハノイのcốmをイメージした甘いポップコーンだ。cốmは若い米を使う食品の呼び名で、同社は秋のハノイに結び付けてこの味を紹介している。塩味かキャラメル味か、という選択だけではない。cốm味ポップコーンの公式紹介

案内された販売開始日は2026年8月15日。ハノイの館限定とはされず、全国のGalaxyでの展開として案内されている。北部の季節のイメージを別の街の映画館にも持ち込む商品だ。告知には店舗別の販売数量や売れ行きまでは示されていない。

誕生日には、チケットより先に「1個と2杯」

Galaxyの2026年会員制度では、誕生月にポップコーン1個と飲み物2杯のCombo 2を受け取れる。条件は、過去12か月に有料のチケットまたは売店での取引が少なくとも一回あること。上位のG-Star、X-Starには2D映画チケットの誕生日特典もある。特典は会員アカウントに付与され、使えるのは誕生月内。引き換えにはCCCDなどの本人確認書類を持参するよう求めている。2026年の会員特典

子どもの誕生日にも対象となる仕組みがあり、会員の大人が同伴し、身長1.3メートル未満で、誕生月を確認できる出生証明書の画像や学生証を提示するなどの条件がある。子ども本人のアカウントだけで完結する特典ではなく、一緒に来る大人の会員関係が使われる。

ポイントはStarという名前で、1Starが1,000ドン相当。チケットや飲食の次回購入に利用でき、1回の取引で使う範囲は20〜100Starとされる。購入額の全てを無制限にポイントで払える制度ではない。2026年の案内では利用期限を12月31日までとしており、獲得した日から丸一年使えるという条件ではない。

Lotte CinemaはL-Cornという別のポイントを使う。2026年の通常会員はチケット購入で5%、飲食で6%を積み立てる。換算は1,000L-Cornで1,000ドンなので、GalaxyのStarと数字の桁が違う。2026年のVIP判定は2025年の支出250万ドン以上、Platinumは600万ドン以上を基準にしている。Lotte Cinemaの2026年会員制度

L-Cornは取引完了の翌日午前6時に反映され、利用は1,000ポイントから。電子財布や銀行など第三者の販売経路で買った券・飲食代は積立対象外で、窓口では支払い前に会員アカウントを伝える。2026年4月1日以降の獲得分は獲得日から二年間有効で、それ以前の分には別の期限が設定されている。同じ映画を同じ館で見ても、購入先や会員情報を示すタイミングがポイントに関わる。

Lotteの上位会員向け一覧には、映画チケット、誕生日の一人用飲食セット、大サイズの甘いポップコーンに加え、ポップコーンの追加トッピングまで別項目として並ぶ。会員特典の細かさは、上映室の外で何を買うかにも及んでいる。

テトの映画館には、種入りの封筒も

Galaxyの2026年テト企画では、赤いお年玉袋、飲み物のカップやストローに付ける飾り、動画配信のクーポンなどを案内した。赤い袋は五枚一組、カップとストローの飾りはチケットと飲食を買ったレシート一枚につき各一個という配布条件で、数量限定。2月17日の元日からは、会員が一回の取引でチケットと飲食を15万ドン以上購入すると、種を入れた封筒をランダムに受け取れる企画も告知された。2026年テトの企画告知

2月17〜21日には、会員ポイントやPepsiのおかわり券をお年玉として配る企画も案内された。この特典を使う期間は2月22日〜4月22日とされ、受け取った日にそのまま飲み物を追加する仕組みではない。年始の来場で受け取ったものを、次の映画の日まで持ち帰る設計だ。いずれも2026年テト期の告知で、実際の配布数は公表されていない。

同じ告知には、『Thỏ Ơi』『Nhà Ba Tôi Một Phòng』『Báu Vật Trời Cho』『Mùi Phở』『Huyền Tình Dạ Trạch』というベトナム映画の題名が並んでいた。売店の小物やお年玉袋の案内のすぐ下に、テトに見る映画の選択肢が置かれている。

出典・確認:文化スポーツ観光省、CGV、Galaxy Cinema、Lotte Cinemaの公式情報を2026年9月に確認。料金は対象館・曜日・座席条件によって異なり、グッズは数量や取扱館に制限があります。

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この記事を書いた人

小島 怜のアバター 小島 怜 うまみ企画 CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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