ベトナムのバス会社FUTAを調べてみた。34床の寝台、街の送迎窓口、バイクを送る貨物便

ベトナムの都市間バスには、座席ではなく寝台を選んで乗る車両がある。Phương Trang(フオンチャン)のFUTA Bus Linesが紹介する34床の車両では、一人分の空間にカーテン、充電口、読書灯が付く。車種によっては画面やカップホルダーもあり、長い移動時間を横になって過ごすための設備になっている。
ただ、この会社の面白さは車内だけにあるのではない。街の営業所へ行くと、乗車券の購入、バスターミナルへの送迎、荷物の発送という複数の用事が重なる。送れる物には書類や小包だけでなく、農産物、自転車、バイクも含まれる。人が帰省する経路の横に、物を届ける経路もある。
今回はFUTA Bus LinesとFUTA Expressの公式情報から、寝台、市内の窓口、休憩所、貨物配送をたどる。旅行者の乗車体験ではなく、会社が実際に案内するサービスと拠点を通して読む、ベトナムの生活交通の一例である。
ベトナム生活図鑑 第12回。2026年9月確認。過去の路線改定・料金・キャンペーンは発表当時の情報として記載しています。現在の運行便、車種、料金、送迎対象は利用日と路線で変わります。
「34席」ではなく「34床」のバス
FUTAの車両紹介で使われる「giường」はベッドを意味する。2024年4月、サイゴンとソクチャンを結ぶ路線では、従来の36床の車両から34床のLimousineへ変更したと発表している。床数を二つ減らし、各寝台の区切りを持たせた車種への更新だった。
その案内では、寝台の傾きを調整でき、充電口、読書灯、無料Wi-Fiを備えるとしている。当時の告知価格は1枚19万5,000ドン。これは2024年の更新時に示された価格で、現在のソクチャン行きの運賃表ではない。寝台のある都市間交通が、観光地だけでなくメコンデルタの都市との間にも用意されていたことが分かる。サイゴン―ソクチャン線の車両更新
2024年10月のファンラン方面の案内では、Kim Long 99という車名が登場する。対象はアンスオン発ファンラン、新東部バスターミナル発ファンラン、同ターミナル発ニンソンの各路線。ここでも34床の寝台型で、調整式の寝台を紹介している。FUTAという会社名だけで車内が一種類に決まるのではなく、路線ごとの更新が公表されている。ファンラン方面のKim Long 99導入
ホーチミン―ダナン線の同時期の案内には、画面、充電口、カップホルダー、カーテンが記載されている。また、ダナンのバスターミナル周辺では、地域に応じて8〜10キロメートルの範囲で無料送迎を行うと説明していた。長距離区間を寝台で移動し、その前後を送迎車でつなぐ構成だ。ダナン線の車内設備と送迎案内
東側に住む人が、西部ターミナルへ行かずに帰省する
ホーチミンのバス移動では、目的地だけでなく、どのターミナルから出るかが生活に関わる。2026年9月4日の公式案内は、トゥードゥックや旧9区、ビンズオン・ドンナイ方面の工業団地にいる人に向けて、新東部バスターミナルからメコンデルタ方面へ乗れる路線を紹介している。
列挙された行き先はカマウ、カントー、カオラン、ホングー、ロンソエン、ラックザーの六つ。西部へ行くために、まず市内を横断して西部バスターミナルへ向かう、という経路だけではない。東側の住民や大学周辺の学生が、新東部ターミナルから帰省や仕事へ出かけるための路線として案内されている。
告知が挙げる不便は、西部ターミナルへ向かう途中の市内渋滞だ。長距離バスに乗ってからの時間だけでなく、乗り場へ行くまでの負担を扱っている。六つの行き先はいずれも到着先のバスターミナルまで記載されており、新東部を出発点にした都市間の経路として紹介されている。新東部ターミナルから西部方面へ向かう6路線
朝6時から深夜0時まで開く、市内の窓口
2025年8月に営業を始めたQuang Trung営業所は、ホーチミン市ゴーバップ街区のQuang Trung通り190番地にある。開設案内の営業時間は6時から24時。メコンデルタ、中部、中部高原方面の乗車券を販売し、ターミナルへの送迎を支え、都市内・都市間の荷物も受け付けると説明している。
この窓口は、大型バスが各地へ出発するターミナルそのものとは役割が違う。利用者が近い場所で券を買い、送迎を利用し、荷物を預ける接点だ。バス会社の住所を一つ調べるだけではなく、乗る前に寄る街中の営業所と、長距離便が発着する場所を分けて見ると、サービスのつながりが分かりやすい。Quang Trung営業所の開設案内
市南部では、2026年8月22日にLê Văn Lương通り486〜486Aの営業所が開いた。場所はタンフン街区で、旧7区のLotte Martに近いエリア。こちらも6時から24時までの営業を掲げ、西部、中部、中部高原などへ向かう利用者の窓口として紹介されている。
開設案内には、西部バスターミナルやMai Chí Thọの拠点への無料送迎と、FUTA Expressの荷物の発送・受け取りが載っている。ただし送迎時間は方向で違う。営業所から二つの拠点へ向かう便は6〜24時、拠点から営業所へ戻る便は24時間と案内されている。営業所の営業時間だけを見て、深夜に到着する客の送迎まで終了すると読むと、この違いが抜け落ちる。南部の住宅地にある窓口が、出発前と到着後の両方を受け持っている。Lê Văn Lương営業所の2026年開設案内
地方にも同じような窓口がある。2025年10月1日に開設したクイニョンのPhú Tài営業所では、Lạc Long Quân通り400番地を拠点に、半径10キロメートル以内の無料送迎と全国への荷物の発送・受け取りを案内した。無料送迎は会社全体に一つの距離条件があるわけではなく、こうした営業所ごとの案内で範囲が示される。Phú Tài営業所の開設案内
地方の送迎経路には、郵便局や橋の名前が並ぶ
半径だけでなく、実際に通る道や目印を示す営業所もある。2026年9月28日のPhước Long営業所の案内は、無料送迎を市場周辺、Cầu Trắng方面、Ngã Năm方面などに分けている。市場周辺の経路にはSacombank、Phước Long郵便局、米穀店、Chùa Bàという寺院が並ぶ。市名だけでは伝わらない集合場所を、日々使う施設の名前で説明している。
Cầu Trắng方面では、夜市からVõ Văn Kiệt通りを通り、複数の橋や工場を経て、末尾にカフェの名前まで載せている。Ngã Năm方面はQuản Lộ Phụng Hiệp沿いを進み、飲食店や給油所、橋を目印にしている。同じ営業所の送迎でも、向かう方向によって経路の列が別に用意されている。
ただし、この一覧は記載エリアの全戸へ迎えに来るという約束ではない。案内の末尾では、予約前に具体的な住所を送迎窓口へ伝え、乗り降りできる地点を確認するよう求めている。生活圏の細かな目印と、事前の住所確認を組み合わせた送迎なのだ。Phước Long営業所の送迎経路と予約前の確認
連休の乗車券は、アプリと電話で売り出す
予約もオンラインだけにはなっていない。2026年4月30日・5月1日の連休に向けた発売案内では、FUTAアプリに加えて、4月22日から電話窓口で予約を受け付けると発表した。電話で席を確保した場合は24時間以内に支払う条件が付く。
アプリの発売は二段階だった。高原地方、フーイエン以南の南中部、メコンデルタ方面は4月20日13時30分から、ビンディン以北のその他中部方面は翌21日の13時30分から。同じ連休の券でも、行き先によって購入開始が一日ずれ、電話の受付はさらに後に始まる。路線を選ぶだけでなく、どの経路でいつ買うかも案内されていた。
同案内は、家族や友人の分をまとめて予約できるよう、購入枚数を制限しないと明記している。帰省と旅行の需要が重なる時期に、家族の人数分の寝台を確保する買い方が想定されていることが分かる。この24時間という条件は当該連休の電話予約の説明で、すべての時期・購入経路に共通する期限ではない。2026年4〜5月連休の発売案内
公式のオンライン購入案内では、運行を調べ、座席または寝台を選び、支払う流れを示す。行き先と時間だけではなく、車内の場所も選択対象になる。バスという同じ乗り物でも、椅子に座る便と寝台の便を区別した画面になっている。公式の乗車券購入案内
2026年9月29日の電子乗車券の案内では、国内銀行カード、Visaなどの国際カード、MoMoやZaloPayなどの電子決済を挙げている。購入後はSMSまたはメールで受け取った電子券を開き、乗車時にQRコードを係員へ見せればよく、紙の券を印刷して持参する必要はないと説明している。営業所で人に相談して買う窓口と、支払いから乗車まで電話画面で済ませる手順が並存している。キャッシュレス決済と電子乗車券の公式案内
休憩所のフーティウにも、乗車券のQRがつながる
途中の食事にはPhúc Lộcという休憩所のネットワークが登場する。2024年11月5日から12月20日の企画では、ティエンザン、ベンチェ、ドンナイ、ラムドンのPhúc Lộcを利用する路線の乗客に、食事と飲み物のセットを3万9,000ドンで提供していた。通常表示は6万5,000ドンだった。
食事はご飯物、フォー、フーティウから一品。飲み物はSemiの豆乳飲料、チアシード入り飲料、RedMenなどを案内している。フーティウは南部で見られる米麺料理で、バスを降りて食べる一皿の選択肢に入っている。休憩所が単なる駐車とトイレの場所ではなく、食事を売る場所として組み込まれている。
割引を受ける方法は、乗車用のQRコードを支払い時に提示すること。一枚の乗車券につき、旅程中一回の利用という条件だった。これは終了した企画だが、バスの券と途中の食事を結ぶ具体的な仕組みとして残っている。現在も同額のセットが買えるという案内ではない。Phúc Lộcの2024年食事セット企画
乗客とは別に、農産物とバイクも動いている
貨物を扱うFUTA Expressの公式紹介には、書類、小包、食品、農産物、自転車、バイク、契約貨物が並ぶ。車両もバン、路線車両、トラックなど複数の種類を挙げている。したがって、すべての荷物が旅客バスの荷室に入る、と単純化はできない。
2026年9月確認のサイトは34省・市へのネットワークを掲げ、島しょ部や沿岸部への輸送にも言及している。これは同社の案内する対応範囲であり、ベトナム全体の貨物市場シェアではない。また、都市名が対応地域にあっても、どんな大きさの荷物を、どの窓口で、どの時間に受け取れるかは別に決まる。FUTA Expressの取扱品とネットワーク
急ぎの便である「chuyển hỏa tốc」は、通常便より時間を短縮し、路線別に定める時間枠で届けるサービスとして説明される。対象例には急ぎの書類のほか、食品、魚介類、農産物もある。新鮮さや受け取り時刻が問題になる物が、速達の説明に具体的に挙げられている。
同社は毎日多数の車両が運行することを、このサービスの基盤としている。ただし、全国どこへでも同じ時間数で届くわけではない。路線ごとの時間の約束を伴う商品であり、「バス便なら必ず今日中」といった一律の表現では捉えられない。FUTA Expressの特急配送
一方の「chuyển phát tiết kiệm」は、費用を抑える配送。食品や農産物に加えて自転車とバイクを挙げ、長距離や大量の荷物にも対応するサービスとして紹介されている。同じ荷物でも、早さを優先するか、数量や費用を重視するかで窓口の選択肢が分かれる。小さなネット通販の箱だけを想像していると、車両そのものまで配送品目に入る幅を見落とす。節約型の配送サービス
家に届く便と、窓口へ取りに行く便
FUTA Expressでは「giao nhận tại văn phòng」と「giao nhận tận nơi」を分けている。前者は営業所での発送・受け取り、後者は指定場所での集荷・配達だ。荷物の到着先が自宅とは限らず、受取人が窓口まで行く方法も独立したサービスとして用意されている。
窓口型の案内は、近くの営業所へ自分で持ち込み、受け取りに行くことで、時間を調整しやすく費用も抑えられるとしている。送る人にとって便利な窓口と、受け取る人にとって便利な窓口は別の場所だ。都市間輸送の両端に、街の荷物の受け渡し場所がある。営業所での発送・受取サービス
集荷・配達型は、大きい物、重い物、量の多い荷物などを想定している。問い合わせは窓口や電話のほか、公式FacebookやZalo OAでも受け付ける。ベトナムで使われるメッセージサービスが、荷物を運んでもらう相談口にもなっている。指定場所での集荷・配達サービス
FAQでは、集配範囲を地域の営業所から半径5〜10キロメートルと案内している。また、荷物に合わせた有料の梱包サービスもある。自宅への配達、梱包、都市間の運搬は、全部が最初から同じ基本料金に含まれるという説明ではない。
窓口で受け取る際には、到着を知らせるSMS、本人確認書類の原本、受取用の電話番号を提示する。バイクの発送では燃料を安全な水準まで抜き、営業所では燃料を保管できないため、受け取り時に抜いた燃料を戻す対応はしないとも説明している。バイクを送るというサービスの具体性が、こうした受け渡しの規定に表れている。集配範囲・梱包・受け取りに関するFAQ
荷物と一緒に、商品代金を受け取る
販売した物を別の都市へ送る場合には、代金を回収するCODもある。FUTA Expressの案内では、2022年12月29日から全営業所網で導入したと記している。ただし、確認した専用ページでは、対象は営業所で発送・受け取りをする荷物で、指定場所への集配や、バイク、自転車、電動車の区分は対象外としている。
同ページでは、現金での精算を選ぶ場合はCODサービス無料、銀行振込を選ぶ場合は有料と分けている。荷物を運ぶ運賃まで無料になるという意味ではない。振込の具体的な手数料額や代金が渡るまでの日数は、このページには示されていない。窓口へ取りに来る受取人から商品代金を回収する仕組みだが、「代引きあり」の一行だけでは、戸別配達にも使えると誤解しかねない。代金回収サービスの対象と条件
ヴィンロンからカントーへは、日々の路線バスも
FUTAの名前は長距離の寝台だけでなく、地域の路線バスにも出てくる。2024年10月22日の案内では、同月26日からヴィンロン―カントー線とヴンリエム―カントー線の経路を、市街地側へ延ばすと発表した。行き先の記述には通りの名前だけでなく、カントー中央総合病院と、Nguyễn Văn Linh通り36番地の始終点がある。
帰省や観光の大きな移動とは異なり、病院や市街地へ出るための路線として読むことができる。カントー橋を渡り、いくつもの市内道路を通り、街の具体的な施設へ近づいていく。地図上で二つの都市が線で結ばれるだけでなく、到着後にどこまで乗れるかが変更されている。ヴィンロン・ヴンリエム―カントー線の経路変更
別の例は、ベンチェ市とĐình Khaoの渡し場を結ぶ08系統だ。2024年11月8日掲載の同月28日からの改定案内では、一般運賃は10キロメートル以下が1万ドン、10キロメートル超25キロメートル以下が2万ドン、25キロメートル超45キロメートル以下が3万5,000ドン、45キロメートル超から全線が4万5,000ドン。学生・生徒向けにはどの区間も5,000ドンと示している。
月券は学生・生徒が30万ドン、一般は区間別に35万〜90万ドン。片道をその都度買う運賃と、一か月を通して使う券の二つが示されている。
これは当時の特定路線の料金で、FUTAの全便に適用される学割ではない。同じ企業の交通でも、34床の寝台を予約する旅と、通学や街への用事で区間運賃を払う移動がある。ベンチェから渡し場へ向かうこの路線には、日々繰り返す移動のための月券が用意されていた。ベンチェ―Đình Khao線の2024年運賃案内
