ベトナムの新婚旅行を調べてみた。夫婦の旅の記録と、ダラット・フーコックの滞在サービス

ベトナム生活図鑑05|確認日:2026年9月29日
ベトナム語で新婚旅行はtuần trăng mật。調べてみると、ホテルが売る「新婚旅行向けの商品」と、夫婦が実際に選んだ旅は、必ずしも同じ形をしていない。ダナンの一つのリゾートに六泊した二人もいれば、披露宴を大きく開く代わりに、旅先で二人の挙式と写真撮影を行うカップルもいる。
一方、予約する側の窓口には、ダラットの客室装飾、フーコックの砂浜の夕食、ベトナムの旅行会社が組み立てる海外リゾート旅行がある。部屋に花を用意してもらうところから、二人の旅程を丸ごと相談するところまで、依頼できる範囲に幅がある。
今回は、現地紙が本人や事業者に取材した旅の記録を先に読み、その後でホテルと旅行会社の公式商品をたどる。前半は個別の夫婦の選択、後半は販売側の提案だ。全国的な新婚旅行の実施率や平均予算を示す調査ではないため、掲載価格を「ベトナム人の相場」とはしない。一般のカップルも使える商品については、その対象も区別する。
結婚式を終えてから、二泊三日のフーコック行きを決める
Znewsが2023年5月20日に掲載したThiên Nhi・Hải Phong署名の記事では、ホーチミン市のHồng PhúcさんとDuy Danhさんが、四か月の式準備を終えてから、フーコックへの二泊三日を予約している。往復航空券、ホテル、空港送迎、朝食と夕食一回をまとめたセットは一人430万ドン。追加の飲食を含め、二人の支出は約1,300万ドンだった。旅行先を細かく調べるより、式の後に一息つけること、航空便と宿を一度に決められることが、この二人には大切だった。
同じ取材に登場するMinh TrungさんとLam Phươngさんは、挙式費用がかさんだため、当初は夏の家族旅行に合わせるつもりだった。しかし式の後にも用事が重なり、休むために四月のフーコック行きを決めた。三泊四日のツアーは一人350万ドンで、航空券は別に購入。交通、食事、土産を含む二人の総額は約1,500万ドンだった。二組とも2023年の支出で、現在の旅行商品の価格ではない。Znewsによる新婚夫婦への取材
ダナンに六泊。予定を詰めるより、休むために選んだ旅
VnExpressのLan Hương記者が2022年4月27日に紹介したのは、ニンビン出身のThùy Trangさんと、ベトナム系ドイツ人のQuỳnh Khôiさんの新婚旅行だ。二月の結婚後、感染症のため出発を遅らせ、以前にも訪れたダナンのソンチャ半島のリゾートへ戻った。六泊の旅費は約二億ドン。一泊約3,000万ドンという宿泊費を含む、明らかに高額な個別事例である。
本人が挙げた目的は休息だった。二人は建築やプライバシーを気に入り、ヴィラで朝食を取り、カヤックを楽しむ一方、街へ出てミークアンなどを食べ、ホイアンにも足を延ばしている。宿に長くいることと、地元の街を訪ねることは両立していた。これは2022年当時の体験記であり、現在の宿泊料金ではない。VnExpressによる夫婦への取材
旅先の挙式と新婚旅行を、一続きにするカップルも
2025年3月9日掲載のVnExpressのNga Thanh記者の記事では、ハノイのThu SamさんとQuang Minhさんが、2024年10月にインドのラダックで少人数の挙式を行った経緯が紹介されている。大勢の招待客を迎える披露宴ではなく、司式者と写真家のいる場所で誓いを交わし、その写真を結婚写真にした。ただし、その前には両家のための伝統的な婚約儀礼も済ませていたという。
同じ取材で、Mer Wedding Photographyの創業者は、プライベートな挙式と新婚旅行を組み合わせる依頼について話している。旅行、結婚写真、挙式を別の日程に分けず、一つの場所に集める選択だ。少数の取材例を全国的な流行とは言えないが、結婚に伴う旅の中身が、ホテルのハネムーンプランだけでは捉えられないことは分かる。本人・婚礼事業者への取材
ダラットでは、155万ドンで「新婚旅行の部屋」をつくる
高原都市ダラットにあるAna Mandara Villas Dalat Resort & Spaは、「Trang trí trăng mật」という客室装飾を販売している。公式料金は155万ドンで、税とサービス料込み。内容は375mlのスパークリングワイン、パッションフルーツのチーズケーキ、生花、ベッドの飾り付け、バラの花びらを使ったバスタブ装飾だ。
ここで155万ドンは宿泊料金ではない。滞在する部屋に追加する演出の値段である。花束だけを購入するのとも、部屋を上位カテゴリーへ変更するのとも違い、飲み物、菓子、寝室、浴室をまとめて整える。新婚旅行という目的が、こうした具体的な注文項目へ分解されているのが面白い。
ベトナム語の商品名にも、旅行全体ではなく「装飾」という言葉が入っている。航空券、送迎、食事までを含む一括旅行と読み違えずに見ると、ホテルが提供する役割がはっきりする。チェックイン前に用意してもらいたいものを、通常の宿泊予約へ足すための商品なのだ。Ana Mandaraの新婚旅行装飾
ダラットの夕食は、レストランの席だけではない
宿泊先そのものも、大きなホテル棟とは造りが違う。Ana Mandaraの客室案内では、松林の中のヴィラに複数の客室が配置され、約40㎡のVilla Studioを新婚旅行にも向く部屋として紹介する。一棟すべてを二人で借りる商品ではない。約70㎡のBellevue Suiteはヴィラ11の上階に一室だけあり、建物を囲むバルコニーから270度の景色を見渡すという。二人が使うのが建物全体か、その中の一室か。ヴィラという名称だけでは分からない違いがある。ホテルの客室配置・カテゴリー
同ホテルが2026年1月に掲載した新婚旅行の案内では、古いヴィラの建築や松林とともに、二人だけの夕食が紹介されている。場所として挙がるのは客室内やワインセラー。宿泊棟を背景に写真を撮るだけではなく、施設内の異なる場所を食事の舞台にする提案だ。
案内には花びら、キャンドル、ワイン、ケーキといった要素も登場するが、記事内のイメージ説明をそのまま全客室の無料特典とは扱えない。先ほどの装飾商品とは別に、ホテルが提案する滞在の過ごし方として読むのが正確だ。夕食の総額や含まれる料理は、この紹介記事だけでは確定しない。
周辺で過ごす時間としては、花の庭、高台のカフェ、街の建築を巡ることが紹介されている。海辺のリゾートと違って、高原の街そのものへ出かける時間と、古い建物の中で過ごす時間をつなぐ構成になっている。ホテルから一歩も出ない旅行だけが想定されているわけではない。Ana Mandaraの新婚旅行紹介
フーコックでは、砂浜の夕食に専属のサービス係が付く
フーコックのSalinda Resortが販売する海辺の夕食は、二人分915万ドンから。2026年10月31日までの掲載特別価格は799万5,000ドンからで、いずれも税とサービス料は別だ。日常の外食価格というより、砂浜に二人用の席をつくる催しの料金である。
内容は三品のコース、花とキャンドル、カーテンを使ったテーブルの装飾、食事中の専属サービス。砂の上にもキャンドルや花びらを配し、席の周囲まで準備する。飲み物は、同じ公式ページの「含まれるもの」と除外条件の記載が一致しないため、ここでは料金に含まれると断定しない。
この商品は新婚旅行だけに限定されず、記念日やプロポーズにも案内されている。予約は少なくとも24時間前で、実施は天候に左右される。食事という一つの出来事に場所、装飾、人員を組み合わせる点に、この商品の特徴がある。Salindaのビーチディナー
庭でのピクニックも、ホテルに頼める商品になっている
Salindaには、ビーチディナーとは別に二人用のピクニックがある。195万ドンからのセットで、税とサービス料は別。場所はプライベートなヴィラの空間やMango Gardenと案内され、敷物とクッション、生花、籐のかごを使った準備が含まれる。
食事はアジア風または欧風のセットメニューから選び、軽食や自家製の菓子、飲み物を楽しむという構成だ。芝生や庭があることと、そこへ食べ物を運び、座る場所を整えてもらえることは別のサービスである。観光地を次々と回るのではなく、ホテルの中の一角で時間を使うための注文といえる。
こちらも24時間前の予約が求められ、天候条件が付く。酒類は含まれず、追加の飲み物は別料金だ。海の見える夕食と庭での軽食が別々のメニューになっているため、同じホテルに滞在していても、夜と昼の時間を違う形で組み立てられる。Salindaのピクニック
花風呂とベッド装飾は、別々に値段が付く
Salindaの「Amorous Moments」には、部屋全体を飾る商品とバスタブを飾る商品が分けて掲載されている。部屋の装飾は、ハート形に並べるバラの花びら、タオルの白鳥二羽、丸い風船20個とハート形の風船一個、床の花びら、通路やテーブルのキャンドルという内容だ。
通常掲載価格は265万ドンで、2026年10月31日までの特別価格が250万ドン。浴槽の花びら、床の花、キャンドルなどを組み合わせるバスタブ装飾は145万ドン、同期間の特別価格は135万ドンとなる。いずれも税・サービス料別で、24時間前の予約と全額支払いが条件として書かれている。
「145万ドンから」という見出しの金額は浴槽の装飾で、寝室全体の料金ではない。さらに公式条件は、バレンタインや女性の日などの特別日には追加料金がかかる場合があるとしている。普段の掲載額に加え、いつ装飾するのか、寝室と浴槽のどちらを依頼するのかが予約内容になる。ダラットの155万ドンのセットとは、含まれる物も税の扱いも異なる。Salindaの客室・浴槽装飾
同じフーコックでも、岬のヴィラに泊まる形がある
Premier Village Phu Quocは、島のOng Doi岬にある施設だ。新婚旅行の専用案内では二つのビーチ、希望に合わせるヴィラの装飾、ビーチでの食事、丘の上のスパが紹介される。市街地のホテルを拠点に外へ出歩く旅とは違い、岬にある施設の中で場所を移りながら過ごす提案になっている。
装飾や食事は個別の希望に合わせる形式で、同ページに旅行の総額は掲載されていない。岬の中で何を組み合わせるかを、宿泊先へ相談する形になる。Premier Village Phu Quocの新婚旅行案内
コンダオでは、50棟のヴィラとレジデンスを持つ施設も
Six Senses Con Daoは、公式に50棟のプール付きヴィラとレジデンスを案内している。二人向けの小さな客室だけを集めた施設ではなく、複数のベッドルームを持つレジデンスも含む。したがって、この棟数を新婚旅行客向けの客室数と読み替えることはできない。
施設の説明では再利用のチーク材などが使われ、木の建物と海岸の景観が前面に出る。大きなホテル棟の一室で眺望を選ぶのとは違い、独立した建物とプールが滞在の単位になる。コンダオという離島のイメージだけでなく、どのような建物に泊まるのかまで含めて売られている。
ベトナムの旅行会社には、旅程そのものを相談する窓口もある
Vietravelの上位旅行ブランド「Vietravel Signature」は、一対一で相談するTravel Designerを案内している。既製の出発日から選ぶだけではなく、希望する滞在や体験を組み立てるための窓口だ。2026年9月29日に確認した国内商品の一覧には、Regentに泊まりヨットSerenityを組み合わせるフーコック二泊三日、Six Sensesに泊まるコンダオ一泊二日などが並ぶ。
ここに掲載されている旅行は、すべてが新婚旅行専用品というわけではない。ホテルが販売する客室や夕食を、旅行会社が移動や日程を含む商品として扱う例である。自分で航空券と宿泊先を別々に手配する場合と比べるよりも、相談の対象がどこまで広がるのかに注目すると違いが分かる。
同社の紹介には海外のリゾート滞在もあり、宿泊ブランドや移動手段が商品名に入る。旅行先の国名だけでなく、「どのリゾートへ、何に乗って行くのか」が選ぶ単位になっている。Vietravel Signatureの公式商品紹介
モルディブ商品には、水上飛行機と滑り台付きヴィラ
Vietravelが掲載するモルディブの上位旅行商品では、Siyam World Maldivesでの滞在と水上飛行機が大きな要素になっている。水上ヴィラにはプライベートプールと海へ下りる滑り台があり、滞在中の活動として水上の遊具施設、海のスポーツ、シュノーケリングなどが紹介される。
静かな砂浜だけを想像しがちなリゾート滞在だが、商品説明には遊びの要素も多い。さらに首都マレの市場やモスクなどを訪ねる内容も記載され、リゾートの島と現地の街を組み合わせている。ビーチでの乗馬は追加料金の活動として明記されており、紹介された体験がすべて基本代金に入るわけではない。
この商品も新婚夫婦限定とは表示されていない。ベトナムの旅行会社が販売する海外リゾート旅行の一例として見ると、航空移動やホテル名だけでなく、水上飛行機、客室の設備、島での活動までを束ねて提案していることが分かる。Vietravelのモルディブ旅行商品
バリへは、航空券と三泊だけをまとめる商品もある
Saigontouristの「Free And Easy」には、バリ四日間・三泊のセットがある。掲載価格は769万9,000ドンから。往復航空券と、現地基準四つ星として案内される101 Fontana Baliまたは同等ホテルでの三泊を組み合わせた商品で、航空会社はVietnam Airlinesと記載されている。101 Fontana Baliへの宿泊が一律に確約された商品ではない。
毎日決まった観光地を団体で巡るツアーとは違い、移動と宿を押さえ、それ以外の時間を自分たちで使う形式だ。新婚旅行専用の装飾や夕食が基本セットに含まれるとの表示はない。ホテルの部屋条件も二人一室のツインとされており、「二人向けの旅行商品」と「ダブルベッドの確約」は同じではない。
同じ海外旅行でも、水上飛行機やリゾート内の活動を前面に出す商品とは中身が違う。こちらは航空券と宿泊を一緒に購入することが中心になる。掲載の最低価格は日程や空席を固定した保証額ではなく、出発日を選んだ見積もりとは区別が必要だ。島のどこで食べ、どこへ出かけるかという時間は、このセットの外側に残されている。SaigontouristのバリFree And Easy
