日本の法人の6割は赤字。それでも会社が続いている理由

日本の法人の6割は赤字。それでも会社が続いている理由の要点を整理した図

国税庁の会社標本調査によると、令和6年度の全法人299万9,680社のうち、赤字(欠損法人)は180万7,925社でした。割合にして60.3%です。日本の法人は、黒字のほうが少数派です。

この数字は「みんな苦しいから大丈夫」と読むためのものではありません。6割が赤字でありながら倒産していないということは、赤字と資金ショートが別の現象だということです。ここを分けて理解しておかないと、自社の赤字が普通の範囲なのか危ないのかを判断できません。

自社の位置を数字で確かめる
自社の赤字が「普通の範囲」か「危ない赤字」か、営業利益・資金繰り・継続期数の3点から判定します。 経営フェーズ診断(14問・約3分)|入力した金額は送信していません。
目次

赤字の法人は180万7,925社。3年間ほぼ動いていない

日本の法人の6割は赤字。それでも会社が続いている理由で押さえる3つの視点

会社標本調査は法人税の確定申告の事績をもとにした調査で、令和6年度分のサンプルサイズは約242万社(母集団約300万社)です。中小零細まで含む全体像として読めます。

ひとつ前提を置いておきます。ここでいう「欠損法人」は法人税法上の所得がマイナスまたはゼロの法人で、会計上の当期純損失とは一致しません。損金に算入できない費用があったり、繰越欠損金を差し引いた結果で判定されたりするためです。決算書が赤字の会社と、この統計の欠損法人は重なりますが同じ集合ではありません。

直近3年の内訳

年度利益計上法人欠損法人合計欠損法人割合
令和4年度1,132,434社1,777,413社2,909,847社61.1%
令和5年度1,153,514社1,803,203社2,956,717社61.0%
令和6年度1,191,755社1,807,925社2,999,680社60.3%
国税庁「令和6年度分 会社標本調査結果について」より。

利益計上法人は4年連続で増えて過去最大の119万1,755社になりました。一方で欠損法人も5年連続で増えています。割合が60.3%まで下がったのは、赤字の会社が減ったからではなく、黒字の会社が増えるスピードのほうが速かったからです。

過去30年で最も高かったのは72.8%

  • 平成21年度の欠損法人割合は72.8%で過去最大。同年の欠損法人数190万社も過去最大
  • 平成7年度の欠損法人割合は64.5%
  • 令和6年度の全法人数300万社、利益計上法人数119万社はいずれも過去最大

リーマンショック直後の72.8%と比べれば、60.3%は改善した数字です。ただし30年をならしても6割前後で推移しており、「赤字が多数派」という状態そのものは景気に関係なく続いています。

6割が赤字でも会社が回っている3つの理由

同じ調査の別の数字を並べると、赤字が多いことと事業が続くことが両立する仕組みが見えてきます。

赤字は会計上の話で、現金が尽きたわけではない

  • 減価償却費は費用に計上されるが、その年に現金は出ていかない
  • 役員報酬を高めに設定していれば、会社は赤字でも資金は社長個人に移っているだけ
  • 会社が潰れるのは赤字になったときではなく、支払いに充てる現金がなくなったとき

赤字と資金ショートは別の現象です。黒字でも手元資金が尽きれば止まりますし、赤字でも現金があれば続きます。決算書の最終行だけを見て安心も心配もできません。とくに従業者が数人の規模では業務が個人に紐づいており、資金だけでなく事業の継続そのものが個人に依存します(1〜4人の事業所が46.1%)。

繰越欠損金が75兆円ある

年度当期控除額翌期繰越額
令和4年度9兆3,400億円75兆5,231億円
令和5年度10兆9,697億円77兆5,219億円
令和6年度10兆5,157億円75兆4,819億円
同上。繰越欠損金の当期控除額と翌期繰越額。

過去の赤字は翌期以降に繰り越して、黒字が出た年の所得と相殺できます。令和6年度に控除された額は10兆5,157億円、まだ使われずに翌期へ繰り越された額は75兆4,819億円です。

つまり赤字の年があること自体が、次に黒字が出たときの税負担を軽くする仕組みに組み込まれています。赤字が一定数出続けるのは、制度上そうなりやすいということでもあります。

全体としては過去最高益が出ている

  • 営業収入金額 1,822兆9,016億円(4年連続増加・過去最高)
  • 所得金額 102兆609億円(5年連続増加・過去最高)
  • 法人税額 18兆6,822億円(4年連続増加・過去最高)

法人数の4割にあたる黒字企業が、これだけの所得を稼いでいます。6割が赤字という数字と、全体では過去最高益という数字は同時に成り立っています。平均値ではなく分布で見ないと実態を読み違えます。

自社の赤字が「普通」か「危ない」かを分ける3つ

日本の法人の6割は赤字。それでも会社が続いている理由を実務に落とす3つのステップ

60.3%という数字は安心材料にも危険信号にもなりません。自社がどちらなのかは、次の3点で切り分けられます。

本業(営業利益)が黒字かどうか

  • 営業赤字/売って作るという本業そのものが回っていない。価格か原価か固定費のどれかに手を入れる必要がある
  • 営業黒字・経常赤字/本業は回っているが、借入の利息など財務の負担が重い。資金調達の組み替えで変わる余地がある
  • 営業黒字・経常黒字・最終赤字/特別損失によるもの。一過性かどうかで判断が分かれる

同じ「赤字」でも打つ手がまったく違います。最初に確認するのは最終利益ではなく営業利益です。

資金繰りが何か月先まで見えているか

  • 3か月より先が見えていない/赤字の内容にかかわらず優先度は最も高い
  • 3〜6か月/半年を超える判断(採用・設備投資)はまだできない
  • 6か月以上/赤字の原因を構造から直す時間がある

資金繰り表が3か月分しかない状態では、値上げ交渉も採用も条件の悪いほうを選ばざるを得なくなります。赤字の改善より先に、見通しの長さを確保するほうが効きます。開業まもない時期であれば、開業費用と運転資金の分け方もあわせて確認してください。

赤字が何期続いているか

  • 1期だけ/設備投資や特別損失など、原因が特定できることが多い
  • 2期連続/構造の問題を疑う。価格・取引先構成・固定費のどれかが合っていない
  • 3期以上/繰越欠損金は積み上がるが、金融機関の評価と調達条件に効いてくる

自社が業種平均と規模別平均のどちらに対してどの位置にいるか、資金繰りや取引先の集中がどの程度のリスクかは、経営フェーズ診断で確認できます。売上と利益を入れると、業種平均の利益率だった場合との差額が金額で出ます。

よくある質問

日本の会社の何割が赤字ですか

国税庁の令和6年度分 会社標本調査では、全法人299万9,680社のうち欠損法人が180万7,925社で60.3%です。黒字(利益計上法人)は119万1,755社で約4割にあたります。

赤字だと会社は潰れますか

赤字と資金ショートは別です。減価償却費のように現金が出ていかない費用や、役員報酬の設定によって会社が赤字になることもあります。会社が止まるのは支払いに充てる現金がなくなったときです。

赤字が何期続くと危険ですか

期数だけでは判断できません。1期であれば設備投資や特別損失など原因が特定できることが多く、2期連続なら価格・取引先構成・固定費のいずれかに構造上の問題を疑います。あわせて営業利益が黒字かどうかを確認してください。

繰越欠損金とは何ですか

過去の赤字を翌期以降に繰り越し、黒字が出た年の所得と相殺できる制度です。令和6年度の当期控除額は10兆5,157億円、翌期繰越額は75兆4,819億円でした。

その商品の価値、お客様に伝わっていますか?

「いい商品なのに売れない」——その原因の整理からお手伝いしています。食品の現場を知る私たちが、御社の売り方を一緒に見直します。まずは現状を聞かせてください。

まとめ

  • 令和6年度の欠損法人は180万7,925社。全法人299万9,680社の60.3%で、赤字が多数派
  • 過去最大は平成21年度の72.8%。30年ならしても6割前後で、景気にかかわらず続く状態
  • 赤字でも回るのは、減価償却・役員報酬・繰越欠損金(翌期繰越額75兆4,819億円)が効いているため
  • 自社の判断は最終利益ではなく、営業利益・資金繰りの見通し・赤字の継続期数の3点で切り分ける

規模による利益率の違いは資本金1,000万円未満の利益率は2.8%で、業種による違いは食料品製造の経常利益率は5.5%で詳しく書いています。

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この記事を書いた人

小島 怜のアバター 小島 怜 うまみ企画 CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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