自分が抜けたら何日もつか。1〜4人の事業所が46.1%という前提

自分が抜けたら何日もつか。1〜4人の事業所が46.1%という前提の要点を整理した図

「自分がいないと回らない」は、少人数で回している事業では欠陥ではなく初期状態です。全国の民営事業所の46.1%は従業者1〜4人で、そこで働いている人は全従業者の7.3%しかいません。数のうえでは多数派ですが、人手のうえでは少数派という構造です。

  • 事業所/店舗・工場・営業所などの場所の単位。大企業の支店も1事業所として数える
  • 企業/会社の単位。複数の事業所を持てば、その数だけ事業所に計上される
  • したがって「1〜4人の事業所が46.1%」は「会社の46.1%が小さい」という意味ではない

問題は状態そのものではなく、その状態を測っていないことです。自分が抜けたとき事業が何日もつのか。この日数を知らないまま何年も走っているケースが少なくありません。

自社の位置を数字で確かめる
自分が離れて事業が何日回るかを、他の3つのリスクとあわせて判定します。 経営フェーズ診断(14問・約3分)|入力した金額は送信していません。
目次

ひとりで回している事業者は、例外ではない

自分が抜けたら何日もつか。1〜4人の事業所が46.1%という前提で押さえる3つの視点

まず前提を数字で置いておきます。

事業所の規模と、そこで働く人の数

従業者規模事業所数構成比従業者の構成比
1〜4人1,719,77146.1%7.3%
5〜9人816,95121.9%9.9%
10〜19人577,51215.5%14.3%
総数3,726,874100.0%100.0%
総務省・経済産業省「令和6年経済センサス‐基礎調査 速報集計結果」より。2024年6月1日現在。総数には従業者0人の事業所を含む。

さらに就業構造基本調査では、自営業主510.8万人のうち人を雇っていない業主が397.7万人、自営業主の77.9%を占めます(この割合は公表値から算出)。なおこの「自営業主」は個人経営の事業主を指し、法人の代表者は「会社などの役員」(354.7万人)に分類されます。

規模の全体像は1〜4人の事業所が46.1%で詳しく書いています。

「何日もつか」を測ると、何が分かるか

属人性は「仕組みがあるか」で測ると曖昧になります。日数で測ると、いま何ができないかがはっきりします。

日数ごとに、できないことが決まる

持ちこたえる日数できないこと
その日から止まる入院・介護・忌引に耐えられない。事業を売ることも継がせることもできない
数日連休は取れるが、体調不良が1週間続くと売上が落ちる
1〜2週間まとまった休みと出張は可能。長期の不在は難しい
1か月以上譲渡・承継の話を進めやすくなる(価格は他の要素でも決まる)
持ちこたえる日数と、その状態で選びにくくなる選択肢の対応。統計にもとづく区分ではなく、当社が実務上の目安として整理したもの。

「その日から止まる」状態で重いのは、休めないことより選べる出口が狭まることです。譲渡の価格は顧客基盤・契約・設備・立地・許認可などでも決まるので、経営者への依存だけで値段が決まるわけではありません。ただし引き継ぐ側から見れば、社長が抜けると売上が落ちる部分は評価しにくく、承継でも「事業」ではなく「個人技」を渡す形になりやすい。ここは統計ではなく、当社が実務で見てきた範囲での見方です。

日数は、まず「1日」から測る

  • 自分が丸1日連絡を絶ったとき、止まる業務を書き出す
  • 止まる理由を分類する。判断が必要/情報が自分にしかない/技能が自分にしかない、の3つ
  • この3つは対処がまったく違う。判断は基準を渡す、情報は置き場所を作る、技能は時間をかけて移す

多くの場合、いちばん多いのは1つめの「判断が必要」です。そして最も速く動かせるのもここです。技能を移すには年単位かかりますが、判断は「この範囲なら決めていい」と渡すだけで今日から動きます。取引先ごとの判断基準が自分の頭の中にしかない場合は、上位1社への依存度とあわせて見ておくと優先順位がつけやすくなります(1社依存は悪か)。

自分にしか見えていないものは、外の人に教わる

属人性を外そうとするとき、最初の壁は「何が自分に紐づいているのか自分では分からない」ことです。毎日やっているので、それが特別だと気づけません。

  • 当社代表の小島は、社内では当たり前になっている手間やこだわりが、外から見ると立派な売りになっている場面を何度も見てきた
  • そのため、デザイナーなど外部の人にあえて入ってもらい「どこが魅力に見えるか」を教えてもらうやり方をとっている
  • この「外の目で見つけてもらう」は、売りの発見だけでなく、属人化した業務の洗い出しにもそのまま使える

自分で書き出そうとすると、当たり前すぎて手が止まります。誰かに1日ついてもらって「いま何を判断しましたか」と聞いてもらうほうが速い。外部の視点の使い方は食品メーカーの新規事業は、「少しずらす戦略」で変わるでも触れています。

日数を伸ばす順序

自分が抜けたら何日もつか。1〜4人の事業所が46.1%という前提を実務に落とす3つのステップ

人を増やせば解決する、とは限りません。人が増えても判断が自分に集中していれば、止まるまでの日数は変わりません。

  1. 決めていい範囲を渡す/金額の上限、対応の可否など、線を引いて渡す。報告を受ける役割ではなく決める権限を渡すのがポイント
  2. 情報の置き場所を1か所にする/取引先の連絡先、価格の経緯、進行中の案件。自分の頭とスマホの中にあるものを外に出す
  3. やり直しが起きた案件から手順を書く/最初から全部を文書化しようとすると終わらない。実際にズレた3件だけ書けば、それが基準になる
  4. 技能の移管は最後/時間がかかるうえ、上の3つが済んでいないと移した相手も判断できず止まる

技能を教えることから始めて判断は自分が持ったままだと、教わった人が毎回確認を取ることになり、負荷はむしろ増えがちです。ただしこの順序が当てはまらない業務もあります。資格・安全・品質管理が絡む仕事では、技能と監督体制を先に整えないと権限を渡せません。事故や法令違反に直結するためです。上の順序は、そうした制約がない業務を想定した整理として読んでください。

人を入れる前に決めておくこと

  • 渡す仕事を1つ決めて、手順を先に書き出しておく
  • 渡してから手順を作ると、結局は自分でやり直すことになる
  • 採用が難しい局面であることは統計にも出ている。開業者の悩みは開業時と比べ、従業員の確保・人材育成の割合が上昇している
  • 日本公庫の融資先を対象にした調査では、開業時の従業者数は「1人」が42.6%で最多。ひとりから始めるのが珍しくないことが分かる(開業資金の平均975万円は当てにならない)

採用と資金の関係は資金繰りが3か月先しか見えないとで書いています。人を採る判断には、戦力化までの半年を見通せる資金繰りが要ります。

経営フェーズ診断では、自分が離れたとき事業が何日回るかを4区分で聞いて、属人性を3段階で判定しています。この区分は当社が実務上の目安として設定したもので、公的統計が検証した基準ではありません。あわせて、いまのフェーズを抜けるときに構造的に何が起きるかも表示します。

よくある質問

ひとりで事業をしている人はどのくらいいますか

令和4年就業構造基本調査では、自営業主510.8万人のうち人を雇っていない業主が397.7万人で77.9%にあたります。ただしこの区分は個人経営の事業主を指し、法人の代表者は「会社などの役員」(354.7万人)に分類されるため含まれません。

属人化はどう測ればいいですか

「自分が仕事を離れたとき事業が何日もつか」で測ると具体的になります。その日から止まる/数日/1〜2週間/1か月以上で、それぞれ選びにくくなる選択肢が変わります。なおこの区分は統計にもとづくものではなく、実務上の目安として整理したものです。

人を増やせば属人性は下がりますか

人数だけでは下がりません。人が増えても判断が経営者に集中していれば、止まるまでの日数は変わらないためです。先に「決めていい範囲」を渡すほうが日数は伸びます。

何から手をつけるべきですか

決めていい範囲を渡す、情報の置き場所を1か所にする、やり直しが起きた案件から手順を書く、技能の移管、の順をおすすめしています。技能の移管から始めると相手が毎回確認を取ることになり、かえって負荷が増えやすいためです。ただし資格・安全・品質管理が絡む業務では、技能と監督体制を先に整える必要があります。

その商品の価値、お客様に伝わっていますか?

「いい商品なのに売れない」——その原因の整理からお手伝いしています。食品の現場を知る私たちが、御社の売り方を一緒に見直します。まずは現状を聞かせてください。

まとめ

  • 従業者1〜4人の民営事業所は全国の46.1%(事業所の集計であり企業数ではない)。少人数で回している状態は例外ではない
  • 人を雇っていない自営業主は397.7万人で、自営業主の77.9%
  • 属人性は「仕組みの有無」ではなく「自分が抜けて何日もつか」で測ると、できないことがはっきりする
  • 「その日から止まる」状態の最大の問題は、休めないことより事業に出口がないこと
  • 伸ばす順序は、決めていい範囲を渡す → 情報の置き場所 → 手順 → 技能の移管。ただし資格・安全・品質管理が絡む業務では技能と監督体制が先になる
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

小島 怜のアバター 小島 怜 うまみ企画 CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

目次