資本金1,000万円未満の利益率は2.8%。規模で4倍変わる

売上高経常利益率の目安を調べると、たいてい業種別の数字が出てきます。ただ自社に当てはめるとき、業種より先に効いているのは会社の規模です。
財務省の法人企業統計で、令和6年度の売上高経常利益率は資本金1,000万円未満が2.8%、10億円以上が11.1%でした。同じ指標が約4倍違います。この差を知らずに業種平均だけを目標にすると、届かない数字を追い続けることになります。
資本金階級別の利益率は、きれいな階段になっている

法人企業統計は資本金1,000万円未満の会社まで含む調査です。上場企業だけを集めた数字ではないため、中小企業にとっても自社と地続きの水準として読めます。
令和6年度の資本金階級別の利益率
| 資本金 | 売上高営業利益率 | 売上高経常利益率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 1,000万円未満 | 1.5% | 2.8% | 1.3pt |
| 1,000万円〜1億円 | 3.1% | 4.1% | 1.0pt |
| 1億円〜10億円 | 4.8% | 5.3% | 0.5pt |
| 10億円以上 | 7.8% | 11.1% | 3.3pt |
| 全産業 | 5.0% | 6.8% | 1.8pt |
営業利益率も経常利益率も、資本金が大きいほど高くなります。ここで注目したいのは右端の差です。10億円以上の階級だけ、営業から経常にかけて3.3ポイントも上乗せされています。
大企業の経常利益率を押し上げているもの
- 営業利益率7.8%に対して経常利益率11.1%。本業の外で3.3ポイント積み増している
- 1,000万円未満は1.5%→2.8%で1.3ポイント、1億円〜10億円は0.5ポイントしか増えない
- 受取配当・持分法投資利益など、資本を持っていること自体から生まれる収益が効いている
本業の稼ぐ力だけを比べるなら、見るべきは営業利益率です。1,000万円未満の1.5%と10億円以上の7.8%で約5倍。経常で比べた4倍より、むしろ差は開きます。
小さい会社では、本業が赤字でも経常が黒字になっていた
この5年の推移を並べると、資本金1,000万円未満の階級だけ、他とは違う動きをしていた時期があることが分かります。
資本金1,000万円未満の5年推移
| 年度 | 営業利益率 | 経常利益率 | 差 |
|---|---|---|---|
| 令和2年度 | ▲0.5% | 2.3% | 2.8pt |
| 令和3年度 | ▲2.0% | 2.0% | 4.0pt |
| 令和4年度 | ▲0.1% | 2.9% | 3.0pt |
| 令和5年度 | 1.9% | 3.3% | 1.4pt |
| 令和6年度 | 1.5% | 2.8% | 1.3pt |
令和2年度から4年度まで、営業利益率はマイナスです。それなのに経常利益率は一貫してプラスで、令和3年度は営業と経常の差が4.0ポイントあります。
- この表の値は階級に属する全法人を合算した集計値
- 「この規模の会社は本業が赤字」という意味ではない
- 階級を合計したとき、営業損失を営業外収益が上回っていた、という意味
これは階級全体を合算した数字で、個々の会社の姿ではありません。「この規模の会社は本業が赤字でも営業外で埋めている」という意味ではなく、「階級を合計すると営業損失を営業外収益が上回っていた」という意味です。
この時期は各種の給付金や補助金が営業外収益に計上されていた可能性がありますが、この統計だけでは内訳を特定できません。確かなのは、階級全体でみたとき、営業段階のマイナスが経常段階では表に出ていなかった期間が3年あったことです。自社の数字を見るときも、営業と経常を分けて確認する理由がここにあります。
- 令和2〜4年度/営業はマイナス、経常はプラス。本業の損が経常段階で見えない
- 令和5年度/営業が1.9%とプラスへ転じ、差は1.4ポイントまで縮小
- 令和6年度/営業1.5%・経常2.8%。営業外の下支えが薄くなり経常は前年より低下
本業で稼ぐ形に戻りつつある一方で、経常利益率としては令和5年度の3.3%から2.8%へ下がりました。数字の上下だけを追うと、良くなったのか悪くなったのか判断を誤ります。赤字か黒字かを最終利益だけで見ないのと同じで、営業と経常は分けて見る必要があります。
規模が小さいほど利益率が低くなりやすい3つの理由
先に断っておくと、これは資本金階級と利益率の相関であって、規模を大きくすれば利益率が上がるという因果関係が示されたわけではありません。階級ごとに業種の構成も違うため、規模の影響と業種構成の影響は分離されていません。そのうえで、構造として効いていると考えられるものが3つあります。
固定費を分散できる売上量がない
- 家賃・システム・保険・顧問料など、売上に関係なくかかる費用がある
- 売上1億円の会社と10億円の会社で、これらの費用は10倍にはならない
- 結果として、売上に対する固定費の比率は小さい会社ほど高くなる
同じ利益率を出すには、小さい会社のほうが粗利率を高く取る必要があります。値付けの前提が違うということです。
逆向きの説明も成り立ちます。利益が出ている会社ほど増資や内部留保で資本金が大きくなりやすい、という順序です。どちらがどれだけ効いているかは、この統計からは決められません。
仕入れと価格交渉で不利になりやすい

- 発注ロットが小さいと仕入単価が下がりにくい
- 取引先が少ないほど、値上げを切り出したときに失う売上の比率が大きい
- 1社への依存度が高い状態では、価格の決定権が実質的に相手側にある
取引先の集中は、利益率に直接効きます。上位1社が売上の半分を占めているなら、値上げの可否はその1社の判断で決まります。従業者が少ないほど対応できる取引先の数も限られるため、規模と集中度は連動しやすくなります(1〜4人の事業所が46.1%)。
経営者自身が現場に入っている
- 社長の時間が実務に使われるほど、価格や取引条件を見直す時間がなくなる
- 値上げも取引先の組み替えも、着手してから効くまでに数か月かかる
- その数か月を確保できないと、条件が悪いまま次の年に持ち越される
利益率が低いのは値付けの結果ですが、値付けを見直せないのは時間の配分の結果です。順番としては、時間のほうが先にあります。
自社の数字をどの平均と比べるか
業種平均と資本金規模別平均は、性質の違う2つの数字です。どちらか一方だけを見ると判断を誤ります。
- 業種平均/その業種が構造的に届きうる水準。目標として使う
- 資本金規模別平均/いまの規模で標準的な水準。現在地の確認に使う
- 営業利益率/本業の力を見る。経常だけを見ていると営業外の増減に振り回される
売上・利益・資本金の3つが分かれば、この2つの平均に対する自社の位置と、平均との差額を金額で出せます。経営フェーズ診断では、取引先の集中度・価格の決定力・資金繰りの見通し・事業の属人性もあわせて判定しています。入力した金額は送信していません。
よくある質問
その商品の価値、お客様に伝わっていますか?
「いい商品なのに売れない」——その原因の整理からお手伝いしています。食品の現場を知る私たちが、御社の売り方を一緒に見直します。まずは現状を聞かせてください。
まとめ
- 令和6年度の売上高経常利益率は、資本金1,000万円未満で2.8%、10億円以上で11.1%。約4倍の差
- 営業利益率で比べると1.5%と7.8%で約5倍。大企業の経常利益率は営業外収益が3.3ポイント押し上げている
- 1,000万円未満は令和2〜4年度に営業利益率がマイナスでも経常利益率はプラス。本業の赤字が経常段階で見えていなかった
- 規模で差がつくのは固定費の分散・仕入と価格交渉・経営者の時間配分の3つ
赤字の会社が全体でどれだけあるかは日本の法人の6割は赤字、業種による利益率の違いは食料品製造の経常利益率は5.5%で書いています。
