1〜4人の事業所が46.1%。そこで働く人は7.3%しかいない

令和6年経済センサスによると、全国の民営事業所3,726,874のうち、従業者1〜4人の事業所は1,719,771で46.1%を占めます。事業所のほぼ半分が4人以下です。
ところが、そこで働いている人は3,971,957人。全従業者54,676,396人の7.3%にすぎません。事業所の数では圧倒的多数派なのに、働く人の数では1割にも届かない。この非対称が、小規模な事業所をめぐる話の噛み合わなさの正体です。
- この調査が数えているのは「事業所」であって「会社」ではない
- 事業所=店舗・工場・営業所といった場所の単位。大企業の支店や営業所も1事業所として数える
- 同じ会社が複数の事業所を持てば、その数だけ計上される
- したがって「1〜4人の事業所が46.1%」から「会社の46.1%が小さい」とは言えない
以下の数字はすべて事業所の話として読んでください。
事業所の数と、そこで働く人の数は一致しない

経済センサスは2024年6月1日現在の調査です。事業所の規模別に、事業所数と従業者数を並べると分布のねじれが見えます。
従業者規模別の事業所数と従業者数
| 従業者規模 | 事業所数 | 構成比 | 従業者数 | 構成比 |
|---|---|---|---|---|
| 1〜4人 | 1,719,771 | 46.1% | 3,971,957人 | 7.3% |
| 5〜9人 | 816,951 | 21.9% | 5,391,785人 | 9.9% |
| 10〜19人 | 577,512 | 15.5% | 7,798,894人 | 14.3% |
| 20〜29人 | 228,445 | 6.1% | 5,425,136人 | 9.9% |
| 50〜99人 | — | — | 7,240,190人 | 13.2% |
| 300人以上 | — | — | 9,784,493人 | 17.9% |
| 総数 | 3,726,874 | 100.0% | 54,676,396人 | 100.0% |
従業者数でみると最も多いのは300人以上の事業所で17.9%です。事業所の数では1〜4人が46.1%で最多なのに、人の数では300人以上が最多になります。
10〜19人の階級だけ、事業所15.5%に対して従業者14.3%とほぼ一致します。この規模が、事業所数と従業者数の分布が交差するあたりです。
このズレが実務に効くところ
- 雇用の話は人数ベースで語られるため、1〜4人の事業所の事情は7.3%の重みでしか扱われない
- 制度や補助金の設計も「従業員がいる前提」で作られやすい
- 一方で取引先の数としては1〜4人の事業所が最多。BtoBで会う相手はこの層が中心になる
「中小企業向け」と書かれた情報が自社に当てはまらないと感じるとき、その情報が人数ベースの中小企業(10人〜数十人)を指していて、4人以下の現場を想定していないことがあります。利益率の目安として示される数字も同じで、業種別の平均は規模を問わない値です。
人を雇っていない事業主が397.7万人いる
もう一つ、別の統計から見ると分布はさらに小さいほうへ寄ります。
就業構造基本調査でみた内訳
| 区分 | 人数 | 有業者に占める割合 |
|---|---|---|
| 有業者(総数) | 6,706.0万人 | 100.0% |
| 自営業主 | 510.8万人 | 7.6% |
| うち雇人がいる業主 | 103.7万人 | 1.5% |
| うち雇人がいない業主 | 397.7万人 | 5.9% |
| 家族従業者 | 101.8万人 | 1.5% |
| 雇用者 | 6,077.2万人 | 90.8% |
| うち会社などの役員 | 354.7万人 | 5.3% |
自営業主510.8万人のうち、人を雇っているのは103.7万人だけです。雇人がいない業主は397.7万人で、自営業主の77.9%を占めます(この割合は公表値から算出)。
- 自営業主(510.8万人)/個人経営の事業主。法人の代表者は含まない
- 会社などの役員(354.7万人)/法人の代表者はこちらに分類される
- したがって「ひとり社長」の人数は、この510.8万人からは分からない
自分ひとりで事業をしているのは例外ではありません。自営業主の8割近くがその形です。ただし有業者全体でみれば5.9%なので、雇われて働く人からは見えにくい層でもあります。
規模が小さいことが経営判断に効く3つの場面
規模は良し悪しではなく前提条件です。前提が違えば、正しい判断も変わります。
利益率の目標をどこに置くか

- 法人企業統計の令和6年度の売上高経常利益率は、資本金1,000万円未満で2.8%、10億円以上で11.1%
- 固定費を分散できる売上量がないため、資本金の小さい会社ほど利益率は構造的に低く出る
- 全産業平均の6.8%をそのまま目標にすると、届かない数字を追うことになる
規模別の水準は資本金1,000万円未満の利益率は2.8%で詳しく書いています。
取引先が1社に寄っていないか
- 従業者が少ないほど、対応できる取引先の数も限られる
- 上位1社が売上の半分を占めていると、価格の決定権は実質的に相手側にある
- 新規開拓より先に、2社目を厚くするほうが利益率には効きやすい
自分が抜けたときに何日もつか
- 1〜4人の事業所では、業務が特定の個人に紐づいていることがほとんど
- その日から止まる状態だと、事業を売ることも継がせることも休むこともできない
- 止まるまでの日数を数日から2週間へ伸ばせるかどうかが、次の段階との境目になる
この3つを含めて自社の位置を確かめられるようにしたのが経営フェーズ診断です。14問に答えると、事業のフェーズと次にぶつかる壁、取引先の集中度・価格の決定力・資金繰りの見通し・事業の属人性の判定が出ます。
よくある質問
その商品の価値、お客様に伝わっていますか?
「いい商品なのに売れない」——その原因の整理からお手伝いしています。食品の現場を知る私たちが、御社の売り方を一緒に見直します。まずは現状を聞かせてください。
まとめ
- 従業者1〜4人の事業所は全国1,719,771で全体の46.1%。事業所の数では最多
- そこで働く人は3,971,957人で全従業者の7.3%。人数では300人以上の事業所(17.9%)が最多
- 自営業主510.8万人のうち、人を雇っていない業主が397.7万人で77.9%
- 規模は前提条件。利益率の目標・取引先の構成・属人性の3つで判断が変わる
これから始める場合の資金の実態は開業資金の平均975万円は当てにならない、法人全体の採算は日本の法人の6割は赤字で書いています。
