ECを開いても売れない食品メーカーが、2回目を設計する

「思いきってECを立ち上げたのに、注文がぽつぽつしか入らない」。直販に踏み出した食品メーカーから、よく聞く悩みです。サイトは作った、商品も載せた。それでも売上が伸びない——。D2C(消費者への直接販売)は、開けば売れるものではありません。
ただ、うまくいかない理由ははっきりしています。多くの場合、集めることばかりに気を取られ、買った人にもう一度買ってもらう設計が抜けているのです。この記事では、食品のD2C・ECを、続けて売れる形にするための考え方を整理します。
D2Cは「作れば売れる」ではない

ECサイトを作ると、それだけで売れる気がしてしまいます。ですが、サイトはあくまで棚であって、集客装置ではありません。棚を作っただけでは、そこに人は来ないのです。
D2Cで見るべき数字は、大きく「どれだけの人が来て」「どれだけが買って」「どれだけがもう一度買うか」の3つです。多くのメーカーは最初の「来る」ばかりを気にしますが、食品で利益を生むのは、実は3つ目の「もう一度買う」です。ここを設計できているかどうかが、続くD2Cと、立ち上げただけで終わるD2Cを分けます。
初回より「2回目」を設計する
食品は、多くが消耗品です。気に入れば繰り返し買ってもらえる——これがD2Cにとって最大の強みです。新しいお客様を集め続けるのは大変ですが、一度買って気に入った人にもう一度買ってもらうのは、ずっと確実で利益も残ります。
| 観点 | 新規獲得ばかり追う | リピートを設計する |
|---|---|---|
| コスト | 集客に費用がかかり続ける | 一度つかんだ客に低コストで届く |
| 利益 | 集客費で利益が残りにくい | 2回目以降が利益の柱になる |
| 安定性 | 集客が止まると売上も止まる | 常連が土台になり安定する |
2回目を生むためにやることは、派手ではありません。同梱するお礼状や使い方の案内、次に使えるきっかけ、定期購入の選択肢——「もう一度買う理由」と「買いやすさ」を、届けた箱の中と次の接点に仕込んでおくことです。
その商品の価値、お客様に伝わっていますか?
「いい商品なのに売れない」——その原因の整理からお手伝いしています。食品の現場を知る私たちが、御社の売り方を一緒に見直します。まずは現状を聞かせてください。
レビューと声を、次の売上に変える
D2Cの強みは、お客様の顔と声が直接見えることです。卸を通していると分からない「なぜ買ったか」「どう使ったか」が、レビューや問い合わせから手に入ります。これを次の売上に活かさない手はありません。
私たちのOYAOYAという乾燥野菜ブランドでも、寄せられたレビューは大切な資産です。「戻すとこう使える」「この料理に合った」といったお客様の声は、商品ページの言葉を磨くヒントになり、次のお客様の背中を押す材料にもなります。良い声は商品ページに載せ、使い方の疑問は記事やSNSで先回りして答える。お客様の声を起点に見せ方を改善し続けることが、リピートと新規の両方を底上げしました。
レビューは「集まるのを待つ」より「お願いする」ものです。商品が届いて使い終わったころに、一言レビューをお願いする連絡を入れるだけで、集まり方が変わります。集まった声は、次のお客様が買うかどうかを決める、いちばん強い後押しになります。
まず、一商品を深く売る

D2Cを始めるとき、つい品揃えを広げたくなります。ですが、商品が多いほど、一つひとつの見せ方も在庫管理も薄くなり、少人数では回らなくなります。
まずは一番自信のある一商品に絞る。その商品の価値が伝わるページを作り、買った人に2回目を促す仕組みと、声を集める流れを整える。ここが回り始めてから、次の商品を足す。この順番なら、今の人数のまま始められて、利益も残りやすくなります。広げるのは、一つで手応えをつかんだ後です。
D2Cは、始めることより続けて磨くことのほうが難しい仕事です。一商品のページを作るところまでは自社でできても、リピートの仕組み、声を集める流れ、集客の入口までを一貫して回し続けるとなると、日々の製造や発送の合間では手が回りません。うまみ企画では、こうした食品メーカーのD2C・EC立ち上げと運用のお手伝いをしています。
その商品の価値、お客様に伝わっていますか?
「いい商品なのに売れない」——その原因の整理からお手伝いしています。食品の現場を知る私たちが、御社の売り方を一緒に見直します。まずは現状を聞かせてください。
よくある質問
- 自社ECとモール、どちらでD2Cを始めるべきですか。
-
まず売れるかを試すならモール、お客様と長く関係を作りリピートを育てたいなら自社ECが向きます。多いのは、モールで反応を見てから自社ECに軸足を移す形です。リピート設計を効かせやすいのは、お客様の情報が手元に残る自社ECです。
- 集客はどうすればいいですか。
-
ECを開いただけでは人は来ません。検索から見つかる商品ページや記事、産地・使い方を伝えるSNSなど、入口を別に用意する必要があります。まずは一つの入口を作り、そこからECに人を流す設計を整えてください。
- 少人数で、発送や運営が回るか不安です。
-
最初から品揃えを広げると回らなくなります。一商品に絞り、注文から発送までの流れをシンプルにすれば、今の人数でも始められます。注文が増えてきた段階で、発送の外部委託などを検討すれば十分です。
- 卸との兼ね合いで、直販の価格をどう決めればいいですか。
-
卸と直販で、扱う容量やセットを分けると、価格が正面からぶつかりません。業務用の大容量は卸、少量やギフト、定期便は直販、といった住み分けが一つの方法です。既存の取引先を大事にしながら、直販ならではの売り方を作るのが安全です。
気に入れば繰り返し買ってもらえるのは、食品ならではの強みです。あとは、集めることだけでなく、もう一度買ってもらう設計を整えるだけ。一番自信のある一商品を、深く売るところから始めましょう。
D2Cに本格的に踏み出すべきか、まず売り方や商品ページの見直しが先か。判断の手がかりに、経営フェーズ診断を使ってみてください。14問で、次に手をつけるべき場所が見えてきます。
