食品の展示会を「出て終わり」にしない出展と商談化の設計

食品の展示会を「出て終わり」にしない出展と商談化の設計の要点を整理した図

「展示会に出展したが、名刺は集まるものの、その後の商談につながらない」。食品メーカーの営業担当から、よく聞く悩みです。出展料や什器、人件費を考えると、決して安い投資ではありません。それだけに、成果が出ないと次の出展をためらってしまいます。

結論から言うと、展示会の費用対効果は、当日の頑張りではなく、出る前と後の設計で決まります。この記事では、食品の展示会を「出て終わり」にせず、商談につなげるための組み立て方を整理します。

目次

展示会の成果は、当日ではなく「前後」で決まる

食品の展示会を「出て終わり」にしない出展と商談化の設計で押さえる3つの視点

多くの会社が、展示会の準備を「ブースをどう飾るか」「何人で立つか」に費やします。それも必要ですが、成果を分けるのは別のところです。誰に来てほしいかを事前に決めているか、そして会期後に名刺をどう追うか。この前後の設計が甘いと、当日どれだけ盛り上がっても数字になりません。

フェーズ成果が出ない出展商談につながる出展
出展前とりあえず出る来てほしい相手と、伝える一言を決めておく
当日名刺の数を競う温度で仕分け、次につながる会話をする
会期後名刺を放置すぐ追い、具体的な提案に進める

まず、どの展示会に出るかを間違えない

成果以前に、出る展示会を間違えると、そもそも会いたい相手が来ていません。食品関連の展示会は、目的によって来場者がまったく違います。

たとえば、完成した商品をバイヤーや小売に売り込みたいなら、食のトータルトレードショー(FABEX)やスーパーマーケット・トレードショー、地域の商談会のように「仕入れる側」が来る展示会が向きます。一方、原料や素材を食品メーカーに売りたいなら国際食品素材/添加物展(ifia JAPAN)、製造の機械や装置に関わるなら国際食品工業展(FOOMA JAPAN、主催者発表で例年10万人規模)と、目的によって来場者はまったく違います。同じ「食品の展示会」でも、完成品を仕入れたい人、素材を探す人、機械を探す人は別。自社が会いたい相手が集まる場を選ぶことが、最初の分かれ目です。

その商品の価値、お客様に伝わっていますか?

「いい商品なのに売れない」——その原因の整理からお手伝いしています。食品の現場を知る私たちが、御社の売り方を一緒に見直します。まずは現状を聞かせてください。

ブースは「何の課題を解くか」で見せる

会場には、似たようなブースが何百と並びます。その中で足を止めてもらうには、商品名や社名を大きく掲げるだけでは足りません。

来場者は歩きながら「これは自分の課題を解いてくれそうか」を一瞬で判断します。だから、掲げるべきは「何ができる商品か」ではなく「どんな課題を解けるか」です。「国産の乾燥野菜」より「カップ麺やスープに手軽に野菜を足せる素材」のほうが、探している人の足が止まる。自分たちが言いたいことではなく、相手が探している言葉で掲げるのがコツです。

試食や実演ができる食品は、それ自体が強い足止めになります。ただし、味わってもらった後に「これで何が作れるか」「どう仕入れられるか」まで一言で伝わらないと、おいしかっただけで終わります。試食と、その先の用途・取引の入口を、セットで用意しておくことが大事です。

名刺は「集める」より「追う」

食品の展示会を「出て終わり」にしない出展と商談化の設計を実務に落とす3つのステップ

展示会でいちばんもったいないのが、集めた名刺を会期後に放置してしまうことです。名刺は、追いかけて初めて商談になります。会期の熱が冷めないうちに動くかどうかで、成果は大きく変わります。

  • その場で温度を仕分ける:すぐ検討したい相手と、当面情報だけ欲しい相手を分けてメモしておく。後の追い方が変わる。
  • 会期後すぐ連絡する:話した内容に触れて「あのとき話した件、こう提案できます」と一歩踏み込む。時間が経つほど記憶は薄れる。
  • すぐ動かない相手も手放さない:情報だけ欲しい相手には、定期的に役立つ情報を送り続け、検討期に思い出してもらう。

フォローは、早さと段取りがすべてです。おおまかな型を決めておくと、会期後にばたつかずに動けます。

タイミングやること
会期の翌営業日お礼と、話した内容に触れた一言を送る(記憶が新しいうちに)
1週間以内「すぐ検討したい」相手に、具体的な提案やサンプルを届ける
1か月以降まだ動かない相手に、用途や事例など役立つ情報を定期的に送る

この会期後のフォローを、人手だけでなくWebでも支えると、さらに効きます。展示会で会った相手が後日「あの会社は何ができるんだったか」と検索したとき、用途や実績が出てくる。人が追いきれない相手も、Webが受け止めてくれます。当日のブースは自社で立てられても、会期後のフォローを取りこぼさず回し、Webの受け皿とつなぐ運用までとなると、通常業務の合間では後回しになりがちです。うまみ企画では、こうした展示会と連動したWebの受け皿づくりのお手伝いもしています。

その商品の価値、お客様に伝わっていますか?

「いい商品なのに売れない」——その原因の整理からお手伝いしています。食品の現場を知る私たちが、御社の売り方を一緒に見直します。まずは現状を聞かせてください。

次の出展を、成果の出る形にする

展示会は、一度の出展で完結する施策ではありません。出て、追って、次に活かす。この一連を設計しておくと、同じ出展料でも成果が積み上がっていきます。

次の出展が決まっているなら、まず「来てほしい相手」と「掲げる一言」を決め、会期後のフォローの段取りまで先に組んでおく。当日を頑張る前に、前後を設計する。この順番に変えるだけで、展示会は費用ではなく投資になります。

よくある質問

大きな展示会は出展料が高く、小規模だと厳しいです。

大きな展示会だけが選択肢ではありません。地域の商談会や、テーマを絞った専門展のほうが、会いたい相手に濃く会えることもあります。規模より「自社が会いたい相手が来るか」で選び、まず小さく試して、前後の設計を磨くのがおすすめです。

会期後のフォローに手が回りません。

全員に手厚く追う必要はありません。当日に温度で仕分けておき、まず「すぐ検討したい」相手だけを会期後すぐ追う。残りには定期的な情報発信で思い出してもらう仕組みを作れば、少人数でも取りこぼしを減らせます。

ブースに何を掲げるか、いつも迷います。

「自社が言いたいこと」ではなく「相手が探している言葉」で掲げてください。商品名や特徴より、その商品が解ける課題を短く出すほうが、探している人の足が止まります。来てほしい相手を先に決めると、掲げる言葉も自然に決まります。

展示会とWeb、どちらを優先すべきですか。

対立するものではありません。展示会は実物を見せて濃い接点を作る場、Webは会えなかった相手や会期後の相手を受け止める場です。展示会で会った人が後で検索したときに情報が出てくるようにしておくと、出展の成果が長持ちします。

展示会に出る行動力があるなら、成果を出す素地は十分にあります。あとは、当日の前後を設計して、会った相手を確実に追うだけ。次の出展の「来てほしい相手」と「掲げる一言」を決めるところから始めましょう。

展示会の成果が出ない原因が出展の設計なのか、その先の提案力や受け皿なのか。見極めの手がかりとして、経営フェーズ診断を使ってみてください。自社の弱点が営業側か仕組み側か、14問で整理できます。

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この記事を書いた人

小島 怜のアバター 小島 怜 うまみ企画 CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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