新商品が売れない食品メーカーが、発売前に整える伝え方

新商品が売れない食品メーカーが、発売前に整える伝え方の要点を整理した図

手をかけて新商品を出したのに、発売直後の動きが鈍い。棚に並べても、ECに載せても、思ったほど反応がない——。食品メーカーで新商品を担当する方から、よく聞く悩みです。

新商品は、発売してからの数か月で流れが決まります。ここで初速がつかないと、取引先の棚も外されやすく、次の商品にも影響します。この記事では、新商品が埋もれずに立ち上がるために、発売の前後で何を整えればいいのかを整理します。

結論を先に言うと、鍵は「商品の良さを、お客様が一目で分かる一言に変えられているか」です。味や品質そのものより、ここでつまずいている新商品がほとんどです。

目次

新商品が埋もれるのは、良さの「伝え方」が決まっていないから

新商品が売れない食品メーカーが、発売前に整える伝え方で押さえる3つの視点

新商品を出すとき、多くのメーカーは中身の開発に力を注ぎます。それは正しいのですが、同じくらい大事な「どう伝えるか」が、発売直前に慌てて決められがちです。

お客様は、初めて見る商品を一瞬で判断します。「これは何で、自分にどう役立つのか」が数秒で分からなければ、手に取られません。中身がどれだけ良くても、その良さが一言で伝わらなければ、存在しないのと同じになってしまう。ここが、初速が出るかどうかの分かれ目です。

良さが伝わっていない新商品良さが一言になっている新商品
お客様の第一印象「よくある商品」に見える「これは違う」と気づく
手に取る理由特にない一言で伝わる
初速鈍い立ち上がりやすい

発売前に決めておく、3つのこと

伝え方は、発売してから考えるのでは遅い。開発と並行して、次の3つを言葉にしておきます。

  • 誰に:この商品が一番刺さるのはどんな人か。「みんな」ではなく、一番喜ぶ一人を具体的に決める。
  • どんな場面で:いつ、どこで、どう使われるのか。使う場面が想像できると、お客様は自分ごとになる。
  • どんな一言で:その商品ならではの良さを、比較や説明なしで伝わる一言に。ここが新商品の顔になる。

この3つが決まっていれば、商品ページも、SNSも、営業トークも、同じ軸でぶれずに作れます。逆にここが曖昧だと、媒体ごとに言うことが変わり、お客様に伝わりません。

その商品の価値、お客様に伝わっていますか?

「いい商品なのに売れない」——その原因の整理からお手伝いしています。食品の現場を知る私たちが、御社の売り方を一緒に見直します。まずは現状を聞かせてください。

「食べたことのない良さ」を、言葉にする

特に食品の新商品では、「食べれば分かる良さ」をどう言葉にするかが勝負になります。食べてもらう前に、その良さを伝えなければならないからです。

私たちのOYAOYAというブランドで、京都の伝統野菜・九条ねぎの乾燥品を出したときのことです。ただ「乾燥九条ねぎ」と説明しても、お客様にはピンときません。そこで、実際に食べたときの体験を言葉にしました。「ねぎ特有の辛みはほとんどなく、甘い旨味」「加熱するとトウモロコシのような香ばしさが広がる」。こう言い換えると、食べたことのないお客様にも、味が想像できるようになります。スペックではなく、口に入れたときの体験を言葉にする。これが食品の新商品では効きます。

良さの言葉は、作り手が普段何気なく口にしている表現の中に眠っていることが多いです。「この豆は火の入れ方が難しい」「うちのは戻すと香りが立つ」。そういう現場の言葉のほうが、きれいに整えたコピーよりよほど人に伝わります。まず作り手が話す言葉を書き出すところから始めてみてください。

小さく出して、反応で磨く

新商品が売れない食品メーカーが、発売前に整える伝え方を実務に落とす3つのステップ

新商品の伝え方は、一発で正解を当てる必要はありません。むしろ、出してみて反応を見ながら磨くほうが、確実です。

いきなり全国の棚に並べる前に、自社のECやSNS、直売など、反応がすぐ見える場所で小さく出してみる。どの一言に反応が集まるか、どんな使い方が喜ばれるかを見て、伝え方を調整する。そのうえで卸や量販の棚に広げれば、すでに「伝わる言葉」を持った状態で勝負できます。

発売後の数か月を、なんとなく過ごすのはもったいない。おおまかに、次のような流れで動くと、初速を次につなげられます。

時期やること見るところ
発売〜1か月反応が見える場所で小さく売るどの一言・どの使い方に反応が集まるか
1〜2か月反応が良かった言葉に絞って発信を強める問い合わせ・レビューで出てくる言葉
2〜3か月伝わる言葉を持った状態で卸・量販へ広げる広げた先での動きの速さ

お客様から届く「こう使った」「この料理に合った」という言葉は、次にどう伝えるかのいちばんの教科書になります。反応を見て言葉を調整し、また出す——この繰り返しが、伝わり方を確実にしていきます。一言を決めるところまでは自社でもできますが、複数の媒体で軸をぶらさず出し続け、反応を見て磨き続ける運用は、日々の製造の合間だと止まりがちです。うまみ企画では、こうした新商品の伝え方づくりから発信までのお手伝いをしています。

その商品の価値、お客様に伝わっていますか?

「いい商品なのに売れない」——その原因の整理からお手伝いしています。食品の現場を知る私たちが、御社の売り方を一緒に見直します。まずは現状を聞かせてください。

まず、一番の売りを一言にする

新商品の立ち上げは、やることが多くて、どこから手をつけるか迷いがちです。全部を同時に完璧にしようとすると、発売に間に合いません。

まずは、その商品の一番の売りを、お客様に伝わる一言にする。それを商品ページとSNSに載せて、反応を見る。この一点だけでも、初速はずいぶん変わります。立派なコピーは要りません。作り手が普段話している言葉を、お客様に分かる形に整えるところから始めましょう。

よくある質問

「誰に」を絞ると、買ってくれる人が減りませんか。

逆です。誰にでも向けた商品は、誰の心にも刺さりません。一番喜ぶ人を具体的に決めて、その人に刺さる言葉で伝えると、結果的にその周りの人にも届きます。絞ることは、届く範囲を狭めることではなく、伝わる深さを作ることです。

味の良さは、結局食べてもらわないと分からないのでは。

だからこそ、食べる前に味を想像させる言葉が必要です。「甘い旨味」「香ばしさが広がる」のように、口に入れたときの体験を具体的に描くと、食べたことのない人にも伝わります。試食が難しいECや棚では、この言葉の差がそのまま売れ行きの差になります。

発売までに時間がなく、伝え方まで手が回りません。

全部を作り込む必要はありません。「一番の売りを一言にする」ことだけ、発売前に決めてください。それさえあれば、商品ページもSNSも同じ軸で作れます。細部は発売後、反応を見ながら磨けば十分です。

誇大な表現にならないか心配です。

盛る必要はありません。食品では、事実を正しく、分かりやすく伝えるほうが信頼されます。効能や優良誤認になる表現は避け、実際の味や使い方を具体的に描く。事実に根ざした言葉こそ、いちばん強く伝わります。

新商品を生み出す力は、すでに持っているメーカーがほとんどです。あとは、その良さをお客様に一目で伝わる一言に変えて、反応を見ながら磨くだけ。まずは一番の売りを言葉にするところから、一緒に始めていきましょう。

新商品の初速が出ない原因が伝え方なのか、商品設計や売り場そのものなのか。切り分けの手がかりに、経営フェーズ診断を使ってみてください。自社が今どの段階にいて、次にどこを直すべきかが見えてきます。

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この記事を書いた人

小島 怜のアバター 小島 怜 うまみ企画 CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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