プレスリリースが載らない食品メーカーへ、ニュースになる切り口

プレスリリースが載らない食品メーカーへ、ニュースになる切り口の要点を整理した図

手間をかけてプレスリリースを書いて配信したのに、どこにも取り上げられない——。食品メーカーが一度は経験することです。新商品を出すたびにリリースは打つが、反応がない。だんだん「意味があるのか」と感じ始める。心当たりのある方は多いはずです。

取り上げられないのには、はっきりした理由があります。多くのリリースが「自社の宣伝」になっていて、メディアが求める「ニュース」になっていないのです。この記事では、食品メーカーのプレスリリースが記事として取り上げられるために、何を、どう伝えればいいのかを整理します。

目次

メディアは「宣伝」ではなく「ニュース」を載せる

プレスリリースが載らない食品メーカーへ、ニュースになる切り口で押さえる3つの視点

まず押さえておきたいのは、メディアは企業の宣伝を無料で載せる場所ではない、ということです。記者や編集者が探しているのは、読者や視聴者が「へえ」と思う新しい情報、つまりニュースです。

「新商品を発売しました」だけでは、ニュースになりません。世の中には新商品が毎日あふれています。その中で取り上げてもらうには、「なぜ今、これが世の中にとって面白いのか」という角度が要ります。同じ新商品でも、伝える角度を変えるだけで、宣伝がニュースに変わります。

宣伝どまりの伝え方ニュースになる伝え方
新商品を発売しましたある社会課題に、こういう形で取り組みます
おいしい◯◯ですこれまでになかった、初めての◯◯です
キャンペーンを始めます季節や記念日に合わせた、今このタイミングの話題です

ニュースになる、3つの切り口

自社の話題をニュースに変える角度は、大きく3つあります。どれも、今ある取り組みの見せ方を変えるだけで作れます。

  • 社会性:フードロス、地域の農業、健康といった社会課題に、自社がどう関わっているか。社会的な意味があると、メディアは取り上げやすい。
  • 新規性:「日本初」「これまでなかった」という新しさ。小さな分野でも、初めてであれば立派なニュースになる。
  • 時季・記念日:季節の話題や記念日に合わせる。メディアはその時期の話題を探しているので、タイミングが合うと拾われやすい。

この3つは、組み合わせるとさらに強くなります。社会性のある取り組みを、関連する記念日に合わせて出す。それだけで、取り上げてもらえる確率は上がります。

その商品の価値、お客様に伝わっていますか?

「いい商品なのに売れない」——その原因の整理からお手伝いしています。食品の現場を知る私たちが、御社の売り方を一緒に見直します。まずは現状を聞かせてください。

「食品ロス削減の日」から生まれた、大手とのコラボ

切り口とタイミングがはまると、話題は大きく広がります。私たちの経験から一つ紹介します。

Agritureグループは、規格外野菜をアップサイクルした乾燥野菜を作っています。この取り組みを、10月30日の「食品ロス削減の日」というタイミングに合わせ、日清食品「日清ラ王」との乾燥野菜セットという形で世に出しました。ここには、社会性(フードロス削減)、新規性(大手インスタント麺との規格外野菜コラボ)、記念日(食品ロス削減の日)という3つの切り口がそろっていました。単に「乾燥野菜を作っています」と発信するより、この角度で伝えたことで、社会的な意義とともに広く知ってもらう機会になりました。商品そのものは同じでも、いつ、どんな意味づけで出すかで、伝わり方はまったく変わります。

プレスリリースの型と、届け方

プレスリリースが載らない食品メーカーへ、ニュースになる切り口を実務に落とす3つのステップ

切り口が決まったら、あとは伝わる形にまとめて、届けることです。プレスリリースには、記者が一目で判断できる型があります。

  • 見出しで結論を言う:何が新しいのか、なぜ今なのかを一行で。ここで興味を持たれなければ、本文は読まれません。
  • 事実を先に、宣伝は後に:何が起きたのかという事実を先に伝え、商品の魅力はその後。順番を逆にすると宣伝に見えます。
  • 写真と数字を添える:記事にしやすい素材を用意する。使える写真や具体的な数字があると、取り上げるハードルが下がります。

届け方は、配信サービスを使う方法と、関わりたい媒体の記者に直接届ける方法があります。ここで難しいのは、一度で終わらないことです。ニュースの種を継続して作り、どの媒体がどんな話題を扱うかを知り、関係を築いていく——この積み重ねは、片手間だと続きません。自社で切り口を出すところまではできても、継続的にニュースを設計し、媒体に届け続ける運用でつまずく会社は多いです。うまみ企画では、こうした食品メーカーの広報・発信の設計と運用のお手伝いをしています。

その商品の価値、お客様に伝わっていますか?

「いい商品なのに売れない」——その原因の整理からお手伝いしています。食品の現場を知る私たちが、御社の売り方を一緒に見直します。まずは現状を聞かせてください。

まず、今ある取り組みを「ニュースの角度」で見直す

プレスリリースは、新しいネタをひねり出す前に、今ある取り組みの見せ方を変えるところから始められます。

自社の商品や活動を、社会性・新規性・時季という3つの角度で見直してみる。どれか一つでも当てはまる切り口が見つかれば、それが次のリリースの軸になります。宣伝したいことをそのまま書くのではなく、世の中にとって何が面白いかに翻訳する。この一手間が、載るリリースと載らないリリースを分けます。まずは、直近で出したい話題を一つ、3つの角度に当ててみてください。

よくある質問

小さな会社の話題でも、取り上げてもらえますか。

会社の規模は関係ありません。むしろ、地域の農業や小さな社会課題に取り組む話は、地方紙や専門媒体に響きます。大手にはできない、自社ならではの取り組みに、社会性や新規性の角度を見つけることが大事です。

配信サービスを使えば、取り上げられますか。

配信サービスは届ける手段であって、中身の弱さは補えません。宣伝どまりのリリースは、広く配信しても拾われません。まず切り口を「ニュースになる形」に整えることが先で、配信はその後の話です。

誇張した表現で目立たせたほうがいいですか。

逆効果です。特に食品では、効能をうたう表現や根拠のない最上級は、信頼を損ないます。記者は誇張に敏感です。事実を、意味づけとともに正確に伝えるほうが、結果的に取り上げられやすくなります。

リリースを出す頻度は、どのくらいがいいですか。

数を打てばいいものではありません。中身の薄いリリースを頻発すると、かえって信頼を失います。ニュースになる切り口が用意できたときに出す、という考え方のほうが、一本ずつの効果が高まります。

取り上げられるだけの取り組みは、すでにどの食品メーカーもしています。足りないのは、それを世の中にとってのニュースに翻訳する角度だけ。まずは直近の話題を、社会性・新規性・時季の3つに当てるところから始めましょう。

広報に力を入れる前に、そもそも何を強みとして打ち出すべきかを整理したい場合は、経営フェーズ診断が手がかりになります。14問に答えるだけで、自社の立ち位置と次の一手が見えてきます。

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この記事を書いた人

小島 怜のアバター 小島 怜 うまみ企画 CEO

株式会社Agriture CEO/乾燥野菜やドライフルーツを中心とした受託加工・OEM事業。京都府内の農家と連携し、規格外野菜の活用や6次産業化支援を通じて、「持続可能な食の流通」を追求している。製造現場での豊富な実体験を活かし、商品企画から試作、小ロット対応、パッケージ設計、販路開拓支援まで、OEMを検討するすべての事業者に伴走するサポートを提供。

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